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    <POPSこぼれっ話>石川さゆり 日本を元気にする歌を

    配信日: | 配信テーマ:その他

     「私のどんな歌が聴きたいの?」

     こんな質問をさらりと発する歌手は、石川さゆりをおいてほかにない。石川は、いつも最高を求め、そこに向かってまい進している時、それが苦難であっても、満足そうな笑みを浮かべている。そして、目的の何かをやっとのことで手に入れると、どこか不満そうになる。それは、思い通りの歌唱かもしれないし、組みたい作詞作曲のチームかもしれないし、何かの賞かもしれない。石川は、ある意味貪欲であり、ある面寂しがり屋なのだ。

     そんな石川は、45周年の今年、どこか、満足と不満の境目にいるようだ。

      ★

     「紅組の最年長が私っておかしいと思うの」。そろそろ出場者発表があるNHK紅白歌合戦で、昨年までの紅組最多出場は39回の石川である。ただこの10年来「津軽海峡・冬景色」と「天城越え」を交互に歌っている。名誉ではあるが、どこか“懐メロ”のにおいがするではないか。満足と不満の潮目はこのあたりにあるのか。

     「私は『今』の歌手。今の世の中が必要としている歌をささげる役目があると思うの。阿久悠先生も吉岡治先生も『世の中を客観的に見つめなさい』っていつも教えてくださった」。名を挙げた2人の大作詞家は、すでに現世を去った。今歌う「百年の抱擁」はなかにし礼の作詞。「礼先生は『今生きていることを思う』ことの重要性を書いてくれた。先生の『生きる宣言』だと思っている。私は『世の中に反応する歌手であれ』って言われている」。重厚な恋情を解放する歌だが「今の恋愛は軽いのでは」と聞くと「だから必要でしょ」といなされる。

      ★

     ポップス系作家との共作アルバムシリーズ「X−クロス」(テイチク)も「3」になった。矢野顕子、細野晴臣、大江千里、小渕健太郎からレキシ、里花といった知る人ぞ知るアーティストまで、9曲を作り上げた。

     「『X』がやっと浸透したなあって感じた。特別というんじゃなくて、これが一番自然な文化であってほしいな」。石川の表情がやっと緩む。

     16日には東京・昭和女子大人見記念講堂で45周年記念リサイタル。「太鼓集団の鼓童との共演や義太夫にも挑戦する。日本を元気にできるような『日本の心』を歌う」。石川に望む歌は、本人が歌いたい歌に決まっている。(川崎浩・専門編集委員)

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