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    凝った音作り 美しい響きも フー・ファイターズが新作

    配信日: | 配信テーマ:洋楽

     米国を代表するロックバンド、フー・ファイターズが新作「コンクリート・アンド・ゴールド」(ソニー)を出した。プロデューサーに、アデルら売れっ子の作品を手がけるグレッグ・カースティンを起用。幅広い音楽性を感じさせる作品となった。米英でヒットチャート1位を獲得。メンバーに聞いた。(桜井学)
     表題曲では「俺たちの根は思っているより ずっと強くて コンクリートを突き破って 伸びていくんだ」と歌う。混迷する世界で、なんとか希望を見いだそうという歌詞が印象的だ。
     サウンド面ではこれまで通りの濃厚かつ攻撃的なギターサウンドは健在だが、美しいコーラスやシンセサイザーの音を生かした凝った音作りも目立つ。デイヴ・グロール(ボーカル、ギター)は、「その点については、グレッグが本当に助けてくれた」と明かす。グレッグは、女性ボーカルと組んだザ・バード・アンド・ザ・ビーのメンバーとしても知られる。「彼らの音楽は、コーラスとキーボードの美しいサウンドが特徴。グレッグはジャズのミュージシャンでもあるから、複雑な曲作りも得意だし、そういった要素を持ち込んでくれると思ったんだよ」。ネイト・メンデル(ベース)も「グレッグの起用は、いいアイデアだと思った。レベルの高いミュージシャンだから、いろいろ言われるかと思ったけど、あんまり細かくなくて、実験的な事をやってくれたよ」。
     1990年代初頭の音楽シーンを席巻し、グランジのブームを生んだニルヴァーナは、ボーカルのカート・コバーンが94年に自殺し、終幕を迎えた。ドラマーだったデイヴは自身のバンド、フー・ファイターズを始めた。これまでに何度もグラミー賞に輝き、アルバム総セールスは3000万枚を超える。デイヴはほかに様々なプロジェクトにも参加。また、音楽スタジオのドキュメンタリー映画の監督も務めるなど、米国ロック文化の中心的存在と言える。
     本作にも豪華なゲストが登場する。人気者のジャスティン・ティンバーレイクがコーラスで1曲に参加。「サンデー・レイン」では、ポール・マッカートニーがドラムスを担当した。「ポールとは、共演の機会が何回かあって、友人になったんだよ。家族ぐるみの付き合いで、一緒に食事をする仲。とにかく演奏するのが好きな人でね。ベーシストとして有名だけど、ドラムスも素晴らしいんだよ。スタジオでは、子供みたいに楽しそうにたたいていたよ」とデイヴ。ほかの曲とは違う、独特の重い響きのドラムスも聴きどころだ。ほかに「ビートルズの曲を三つぐらい組み合わせた感じ」という、やさしい響きの「ハッピー・エヴァー・アフター」も収録されている。
     成功に安住せずに、果敢に新機軸を打ち出していく。デイヴは「自分たちがエキサイティングだと思えることが大事。新しい事にチャレンジし続けないと、同じ事の繰り返しになってしまうからね」と静かに語った。

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