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    [ALL ABOUT]西野七瀬 なぎなた姿 たくましく 

    配信日: | 配信テーマ:Jポップ

     ◇Pop Style vol.564
     ◆映画「あさひなぐ」22日公開
     人気アイドルグループ・乃木坂46、西野七瀬さんの初主演映画「あさひなぐ」が、22日から公開される。なぎなた部に所属する女子高校生の青春を描いた漫画を、乃木坂46のメンバーを中心に舞台化、映画化する連動プロジェクト。白石麻衣さん、生田絵梨花さんらが脇を固める中、西野さんは愚直な努力家、東島旭(とうじまあさひ)の成長を見事に演じている。
     
     ◆おっとり控えめ 
     ふんわりとした雰囲気が魅力で、グループで群を抜く人気者だ。センター経験やソロ曲、ドラマ出演といった実績も十分。ファッション誌の専属モデルを務め、テレビのレギュラー番組も持つ。でもなぜか、“揺るぎない乃木坂46のエース”……という言葉は似合わない。
     おっとりとして控えめな性格のせいだろう。人を押しのけて、前に出るタイプとはほど遠い。映画初主演の知らせを受けたときについても、「初めは乃木坂メンバーが出ることを知らなくて不安が大きかったんですけど、出ると分かって一気に安心しました」と振り返る。「撮影中もみんなとずっと一緒にいて、本当の部活みたいな感じだったので、普段とは違ったチームワークや絆が見せられるかなあと思いました」
     まばゆいばかりにキラキラしたアイドルとは違って、西野さんが放つ光は、はかなげに明滅している。乃木坂46はメンバーの層が厚いと評判だが、先頭に立つ彼女がそんな存在だからこそ、他の女の子たちにも代わる代わるスポットライトが当たるのだろう。
     ◆厳しかった練習
     演じる主人公・東島旭は、運動は苦手なのに、高校で「なぎなた部」に入って自分を変えようと挑む。「普段のまま演じたというか、役作りというものをしなかったですね。見た目も、他の子みたいに髪をバッサリ切ったわけでもないし、普段メガネもかけるし、運動も得意じゃないし」。映画の前半は、ティッシュを鼻につめた旭の顔が大写しになるなど笑える要素も多いが、見所は激しい練習や試合のシーンだ。
     なぎなたは全員が初心者。厳しい練習に励み、西野さんは足の裏の皮がめくれそうになり、腕は筋肉痛になったという。それ以前に壁となったのは、試合相手に激しく打ち込むことができなかったことだ。「打たれることは全然いいんですけど、自分からはそういうことが出来ないタイプなので」
     人見知りで、人一倍、傷つきやすい性格。人を傷つけることはなおさら苦手なのだろう。乃木坂46のデビュー当時、街頭でのPRのティッシュ配りがうまくできず涙を流したことなど、感受性の強さは語り草になっている。常に視線にさらされ、競争を強いられるアイドルという仕事において味わうつらい思い。何度も乗り越えてきた。「周りに気を使っていたし、閉じこもっていた。乃木坂46に入って生き方すべてが変わった」
     ◆持ち味の二面性
     昨年9月、3期生が加入し、グループは新たな段階を迎えた。一緒の仕事が多い3期生の与田祐希さんは、西野さんを憧れ慕う。先輩としての頼もしさが備わってきたのか。「世話好きな子は他にいて、私は全然できないんです。与田ちゃんはなぜか懐いてくれるので、うれしく思います。私、何にもしてないのになあって」
     女優としての自覚も出てきた。年明けから春に及んだなぎなたの練習や撮影は、乃木坂46メンバーとしての通常の仕事と並行して行われたが、疲労困憊(こんぱい)の日々でも、映画のロケ現場に入ると不思議と乗り越えることができたという。「初めて映画をやって現場って楽しいな、もっとお芝居したいなと思いました」と意欲的に語る。
     映画の終盤、旭が尊敬していた先輩の真春に食ってかかる場面には胸を熱くする人が多いだろう。フリートークなどでは危うげなフワフワ感を漂わせる西野さんも、ステージで歌うさまや画面上で見せるパフォーマンスや表情は、別人のようなたくましさでファンを魅了する。鈍くさい旭から、見違えて成長する旭へ。スクリーンでは、西野さんの持ち味である二面性が存分に発揮されている。
      
     ◆運動音痴がなぎなた部に
     原作は、こざき亜衣さんが2011年から「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載中。2014年度に「小学館漫画賞(一般向け部門)」を受賞した。
     中学では美術部で運動音痴だった東島旭が、二ツ坂高校で1年先輩の宮路真春の強さに憧れて、なぎなた部に入部する。ライバル校の1年生エース・一堂寧々や、夏合宿での指導役の尼僧・寿慶との出会いを通して成長していくが、二ツ坂高校はあることをきっかけに、精神的支柱である真春を失うことになる。その時、旭が取った行動は——。
     
     ◆主な出演者のコメント
     映画「あさひなぐ」の完成披露上映会イベントが8月28日にあり、舞台あいさつが行われた。西野さん以外の主要キャストのコメントを紹介する。
     ◇桜井玲香さん(なぎなた部1年、八十村将子役)
     「役柄がキャラと違うと言われたけど、私自身は作り込みやすかった。人生で初めて金髪にしたり髪を切ったり形から入ってみました。監督から『もっと相手をののしって』と言われて大変でした」
     ◇松村沙友理さん(なぎなた部1年、紺野さくら役)
     「みんな一緒になぎなたを始めたので、入学したような気持ちでした。私の試合シーンの内容が、撮る前日に変わったときは、ちょっと涙が出ました。1か月ぐらい考えたのに」
     ◇白石麻衣さん(旭が憧れる2年、宮路真春役)
     「なぎなたが強くなきゃいけない役で、初日から真春ちゃんだけビシビシいくからねって言われ心が折れそうになったけど、なぎなたは楽しくて出来るとうれしくて苦ではなかったですね」
     ◇伊藤万理華さん(なぎなた部部長・野上えり役)
     「前半は物語の進行役と言われ、乃木坂46でそういうポジションにいないし、やらないタイプなので、ビックリしました。えりちゃんのテンポの良いところに苦戦しました」
     ◇富田望生(みう)さん(なぎなた部2年・大倉文乃役)
     (乃木坂46のメンバーではないため)「不安はあったんですけど、みなさんが、もっのすごく優しいんです。『おいで』って感じで。なぎなたを通して距離が近くなっていたのを感じました」
     ◇生田絵梨花さん(ライバル校の1年・一堂寧々役)
     「寧々ちゃんが気が強い背景が映画では描かれないので、代わりに子供っぽい素直さからくるふてぶてしさだったり、すねてる感じだったり、かわいらしさを入れ込めたと思います」
     
     ◆あー、大好き! マンガ「銀牙」 お笑い「みやぞん」
     根っからのインドア派の西野さん。特にマンガ好きは有名だ。
     小学生の頃から好きなのが、週刊少年ジャンプで1980年代に連載された「銀牙—流れ星 銀—」。続編の「銀牙伝説ウィード」から読み始め、1970年代に連載開始された「白い戦士ヤマト」に遡ってコミックス全巻をそろえるなど、犬が活躍する高橋よしひろさん作のマンガを読破した。「犬が主人公で、犬同士が戦って死ぬグロテスクな場面もあって。いいなあって」とほほ笑む。シリーズは現在も「銀牙〜THE LAST WARS〜」として続いている。
     「マンガはファンタジー系やギャグが好きで、スポ根は手を出してこなくて」と、「あさひなぐ」には映画が決まってから触れた。「読み始めたら、なんだ、すごい面白いコレってなって。すいすい読めるし、登場人物も個性があってすぐ覚えられた。(全巻の通し読みを)2周したら、21巻の全く同じ所で泣きました」
     最近のお気に入りは、宝石の体を持つ生物を巡るファンタジー「宝石の国」(市川春子さん作、アフタヌーン連載)。「去年知って読んでいたら、今年の秋にアニメ化しちゃうんですよ。好きになった漫画が、アニメになっちゃうことがよくあります」
     ブレイクを予知する感性は、お笑いでも発揮。今、大ブレイク中の「ANZEN漫才」のみやぞんには、昨年から注目していた。「とんねるずさんの番組に出てたのを見て、メッチャ面白いこの人と思って。でも、テレビに出てなかったし、動画を探してもあがってなくて。みんなに勧めても、知らなくて。絶対売れると思うから見てくださいって言っていたので、うれしいですね」
     
     ◆乃木坂46 2作目のミリオン
     乃木坂46は昨年9月に3期生が加入し、ますます勢いを増す。今年8月9日に発売された18作目のシングル「逃げ水」は3期生の大園桃子さん、与田祐希さんの2人がセンターに抜擢(ばってき)された。
     同作は、オリコンの9月18日付ランキングで、累計売り上げ枚数が101万枚に達した。西野さんと白石さんがダブルセンターを務めた前作「インフルエンサー」に続く2作目のミリオンセールスとなっている。
     19枚目のシングルは、映画「あさひなぐ」主題歌の「いつかできるから今日できる」(10月11日発売)に決定。西野さんと、今年5〜6月に舞台版「あさひなぐ」の主役を務めた齋藤飛鳥さんがダブルセンターを務める。
     また、乃木坂46は11月7、8日に初の東京ドーム公演を行うことが発表された。
      
     ◇にしの・ななせ 1994年5月25日生まれ。大阪府出身。高校在学中に乃木坂46の1期生オーディションに合格し、2012年にデビュー。ドラマ「初森ベマーズ」などに出演。「non—no」専属モデルを務め、フジテレビのバラエティー「ライオンのグータッチ」にレギュラーで出演中。
     
     
     ◇文・清川仁

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