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    [イマ推しっ!]舞台 夫婦初共演は音楽朗読劇

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     女優の藤田朋子さんと、夫のアコーディオン奏者、桑山哲也さんが音楽朗読劇で共演する「ふたりの詩(うた)」が24日、東京・日本橋の三越劇場で行われます。バラエティー番組で人気のご夫婦ですが、互いの専門分野で向き合うのは意外にも初めてです。潤色・演出は、石井ふく子さん。笑いなし、本気の二人が見られそうです。(清川仁)
     徹底した倹約家の藤田さん、それに付き合わされる年下夫の桑山さん、という構図で楽しませてくれるお二人ですが、そんなキャラクターは仮の姿。ミュージカル「レ・ミゼラブル」でデビューし、朝ドラヒロインから舞台、映画と活躍する藤田さん、シャンソン界をリードする名奏者の桑山さんと、本業では実力派の夫婦なのです。
     二人の出会いは、歌も得意な藤田さんが、桑山さんとライブで共演したのがきっかけ。でも、女優としての共演はありませんでした。「桑山は世界一の音楽家だと思っている。尊敬し合って近くにいる二人が一緒に仕事ができないでいて残念だった。でも、役者と音楽家という異なる立場を互いに理解できるようになり、何でもモノが言える状態で共演できるのはうれしい」。満を持した舞台を前に、藤田さんの言葉も熱を帯びます。
     桑山さんは昨年12月、音楽、演劇、ダンスを融合した舞台「クレメンティア」に出演し、役者を少しだけ経験しました。「音楽家はリハーサルを2回もやれば多い方。でも役者は1か月かけ、何もないところから形を作って、煮詰めていく。こんなに考え方が違うんだと思った。それからは、稽古から帰ってグッタリしている妻に気を使うようになりました。今日は話しかけるのをやめようとか、部屋汚えぞって言うのを我慢しようとか(笑)」
     待ち望んだ初共演。しかも今回、藤田さん一人が朗読劇に挑むのに対し、桑山さんもアコーディオン一つで、自作曲で彩りを加える二人だけの舞台です。そこで二人が頼ったのが、石井ふく子さん。ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」のプロデューサーであり、舞台演出家。恐縮しながら相談する藤田さんに対し、「何を悩んでるの。あなたが言うんだったらやるわよ」と快諾してくれたそうです。
     作品は、童謡詩人の短く波乱に満ちた生涯を描いた「金子みすゞ物語」。矢崎節夫さんの原作を基にしていますが、台本は石井さん自ら手がけました。「初稿が上がった後、昼夜問わず手直しの相談の電話をくださった」と、藤田さんは感激します。桑山さんも「情景が浮かぶ台本を読み、移動中の新幹線で泣いた。『ここで重めの曲を』という明確な指示も曲作りにありがたかった」と語ります。
     藤田さんは役を演じながらみすゞの詩を朗読しつつ、みすゞ役にもなる場面も。難しそうですが、石井さん演出の舞台でみすゞ役を演じたことがある藤田さんは「みすゞは私の中にある」と、自信をのぞかせます。
     熱く語ってくれた二人。本当は芸道を追求する真面目な夫婦なんですね。「いや、仕事じゃない時はお笑いの話ばかり」(藤田さん)、「今は、ブルゾンちえみ」(桑山さん)、「ピコ太郎は早くから見つけたもんね」(藤田さん)と、止まりません。ちょっと安心。
          ◆
     「ふたりの詩」は、音楽朗読劇とライブの2部構成。午後7時開演。問い合わせはキャピタルヴィレッジ(03・3478・9999、平日午前11時〜午後6時)。

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