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    <Interview>加山雄三 音楽は生涯の友 80歳「若大将」若者から刺激受け

    配信日: | 配信テーマ:その他

     「日本人男性の平均寿命が80歳を超えてるけど、今、その年になるってわけよ」。どこか、がらっぱちを装う生きのいい口調で、加山雄三は終末を見据えたようなテーマを語り始めた。が、そこからが、やはり“若大将”である。

     「でね、元気で生活できる健康寿命ってやつを考えると、大体75歳までくらいらしいんだ。おれはさ、もう5歳は元気そのもので生きているわけで、これからもバリバリやれそう……」

      ■  ■

     1937年4月11日、横浜生まれの茅ケ崎育ち。中学時代から歌を作り始めるも、慶応大学を卒業すると、東宝に入社し、60年に「男対男」で映画デビュー。岡本喜八や黒沢明らにかわいがられながら、青春映画「若大将」シリーズが大ヒット。そこで挿入される自作曲が次々とヒットし、本人いわく「シンガー・ソングライターの草分け」となる。ホテル経営の失敗やスキー中の大けがなど、どん底も経験したが、歌や演技だけでなく、絵画や焼き物の評価も高い。自らが設計したクルーザー「光進丸」に乗って遊ぶ暇もないくらいである。

      ■  ■

     加山の傘寿を記念し、東京国際フォーラムホールAで4月21日に「若大将 一夜限りのスペシャルライブ〜君といる時が一番しあわせなんだ」が開かれる。それに先立ち、加山のオリジナル音源を使用して最先端の注目ミュージシャンたちがリミックスした曲を集めたCD「加山雄三の新世界」(ドリーミュージック)と、過去に人気アーティストがカバーしたトラックを集めた「Respect KAYAMA YUZO」(同)が発売される。

     「新世界」は、PUNPEE「お嫁においで2015」▽KAKATO×川辺ヒロシ「夜空の星」▽RHYMESTER「旅人よ」▽水曜日のカンパネラ「海 その愛」−−など8曲が収められた。

     「若手の音を聴いて『これどうやって作ったんだろ!?』ってビックリするわけ。おれと全く違うんだな。おれのこと知らないんじゃないの。でも、これでいいんだ。知らない者同士による面白がり屋のエネルギーが相乗効果を生む。これが音楽の醍醐味(だいごみ)だよ」と加山の歌声がバラバラに分解され再構築された「新世界」を呵々大笑(かかたいしょう)で受け入れる。

     「音楽は生涯の親友。生きがいだね。現役感をなくすと、老ける。若手と組んだバンド『キング・オールスターズ』は今年もフジロックフェスに出演予定さ」。これこそ“健康長寿の秘訣(ひけつ)”と言わんばかりに自慢げである。「80歳コンサートはすごい?」と尋ねると「実は、俺にも内容を教えてくれない。どんな仕掛けがしてあることやら」。誕生日会が待ち遠しい子供のように目を輝かせる。

     「80歳までに作る」と計画していた「完全エコエネルギーの災害救助船」は「テクノロジーの進化が早過ぎて変更続出」と足踏み中。だから「若大将」のエンドマークはまだ先のことである。【川崎浩】

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