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    レッド・ツェッペリン「ロイヤル・オルレアン」“レファレンス・ミックス”を歌っているのは誰なのか

    配信日: | 配信テーマ:洋楽

    2014年からスタートしたレッド・ツェッペリンの“リマスター・デラックス・エディション”シリーズは、1970年代を席巻したモンスター・ロック・バンドが現代においてもそのマジックを失っていないことを証明するイベントだった。

    『レッド・ツェッペリン』(1968)から『コーダ(最終楽章)』(1982)までの全スタジオ・アルバムに、バンドのギタリストでプロデューサーのジミー・ペイジが最新リマスタリングを加え、大半が初登場となる“コンパニオン・ディスク”を追加。年季の入ったマニアは未発表音源に飛びつき、新しい世代のリスナーはお気に入りのバンドのルーツであるレッド・ツェッペリンを初めて発見することになった。

    ペイジ自らが2014年に2回プロモーションで来日、2回目の10月には都内でサイン会まで行うなど、レッド・ツェッペリンはひとつのムーヴメントとなって蘇ったのだ。

    一連の“コンパニオン・ディスク”にはライヴや未発表曲、未発表ヴァージョンなどが収録されていたが、その中で“目玉”のひとつだったのが、『プレゼンス』(オリジナル盤は1976年発売)に収められた「ロイヤル・オルレアン」の“レファレンス・ミックス”だった。

    「ロイヤル・オルレアン」はアメリカのニューオリンズにある“ロイヤル・オーリンズ・ホテル”からタイトルを取った曲。1960年に創業したこのホテルは、現在でも“オムニ”ホテル・グループ傘下で営業中だ。アメリカにあるので“ロイヤル・オーリンズ”と発音するのが正解と思えるが、ニューオリンズのフレンチ・クォーターにあるため、“オルレアン”でも正しいのかも知れない(ペイジ自身は“オーリンズ”と発音していた)。2005年、ハリケーン・カトリーナの被害を免れたことで、ニューオリンズ市警の仮警察署として使用されたこともある。

    この歌詞は1970年代初め、ベーシスト兼キーボード奏者のジョン・ポール・ジョーンズがニューオリンズのホテルのバーで知り合った女性を部屋に連れ込んだが、それが実は女装した男性で、しかも寝タバコで部屋が火事になった……という逸話からインスピレーションを得たものだという。ツェッペリンでは最も真面目なように見えるジョーンズだが、時にはハメを外すこともあったようだ。

    あるときジョーンズが「ツェッペリンの音楽で一番重要性が低いのは歌詞」と発言したため、シンガーのロバート・プラントが「何ィ!」と、復讐として彼の失敗談を題材にした歌詞をつけた曲を書いた……というのが定説になっている。

    ファンキーなギターのカッティングとドラマー、ジョン・ボーナムの叩き出すグルーヴをフィーチュアしたこの曲は、ツェッペリン流のニューオリンズへのトリビュートと呼べるものだ。

    「ロイヤル・オルレアン」の“レファレンス・ミックス”がファンを驚かせたのは、ヴォーカルがまったく異なっていることだった。オリジナルのアルバム・ヴァージョンではプラントがその特徴である甲高いヴォーカルを披露しているが、“レファレンス・ミックス”ではドクター・ジョンを彷彿とさせるダミ声ヴォーカルが入っているのだ。

    『プレゼンス』のデラックス・エディションが発売されると、このヴォーカルが誰のものか、“犯人探し”が始まった。ジョン・ボーナムが酔っ払って歌った説、バンドの乱痴気騒ぎにしばしば参加していたツアー・マネージャーのリチャード・コール説、プラントが声色を変えて歌った説などが出たが、客観的なデータは残されておらず、このヴァージョンについては誰も証言していない。

    そこで2016年11月、東京・両国国技館で行われた『クラシック・ロック・アワード』授賞式で来日したジミー・ペイジ本人に訊いてみることにした。

    「あれはロバートだよ」ペイジはあっさり答えてくれた。「ニューオリンズのディスコでああいう歌い方をしている歌手がいたんだ」

    『プレゼンス』本編でプラントが“普通に”歌っているのは、ダミ声ヴァーカルが「うまく行かなかったから」とのことだ。

    ちなみにプラントがドクター・ジョンに似せて歌ったのか? という質問に対しては「ん?」とキョトンとした表情を浮かべていたので、意識していなかったようである。

    興味深かったのは、誰がこの曲を歌ったのかという議論がネット上で交わされているのを、ペイジが知っていたことだ。

    「ボンゾが歌ったと主張する人もいるけど、あれはロバートだよ」

    “世界一のレッド・ツェッペリン・マニア”とすらいわれるペイジ。彼が日本を訪れるたびに西新宿のレコード店街を訪れることは有名で、筆者(山崎)も彼が中古レコード店のレッド・ツェッペリン・コーナーを熱心に見ているのを目撃したことがある。だが、彼がファンの掲示板までチェックしているとは……! と驚かされる出来事だった。


    ●レッド・ツェッペリン
    『プレゼンス デラックス・エディション』
    ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-16685/6
    現在発売中

    2017年2月 2日音楽ジャーナリスト&ライターの眼(1版)掲載 執筆記者:山崎智之

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