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    フリートウッド・マック、1982年のアルバム『ミラージュ』新装盤発売。2017年、バンド結成50周年に向けて始動

    配信日: | 配信テーマ:洋楽



    フリートウッド・マックの1982年のアルバム『ミラージュ』の“エクスパンデッド・エディション”が発売となった。

    1967年に結成したフリートウッド・マックはデビュー当時、ピーター・グリーンのギターを前面に押し出したブルース路線の音楽性で、イギリス全土にブリティッシュ・ブルース・ブームを巻き起こした。ピーターが脱退してから紆余曲折を経て、一時は解散した彼らだが(マネージャーが勝手にメンバーをかき集めて“偽フリートウッド・マック”がツアーに出たこともあった)、1974年にスティーヴィー・ニックスとリンジー・バッキンガムを迎えて再始動。新生マックとなって4作目のアルバムが『ミラージュ』である。

    ポップなサウンドが世界規模で支持され、『噂』(1977)が5千万枚というモンスター・ヒットを記録しているスティーヴィー/リンジー期のマック。その作品はいずれも今日に至るまで高い人気を誇ってきたが、リマスター/ボーナス・トラックを加えた復刻プロジェクトは、やや後れを取っていた。2004年には『ファンタスティック・マック』(1975)にボーナス5曲を追加した“リマスター&ボーナス・トラック・エディション”が発売されたが、それからしばらく音沙汰がなく、2013年になって『噂』の新装盤を発売。4CD+DVDの“スーパー・デラックス・エディション”がファンを驚喜させた(3CD仕様の“デラックス・エディション”も発売された)。

    続いて2015年には『牙(タスク)』(1979)の“エクスパンデッド・エディション”を発売。元々2枚組アルバムだったこの作品だが、“スーパー・デラックス・エディション”は5CD+DVD+2LPという凄まじいヴォリュームとなった(こちらも3CD仕様も同時発売)。そして2016年にリリースされたのが『ミラージュ』新装盤だ。

    今回の“エクスパンデッド・エディション”は2CDと、過去2作品と比べるとやや控えめなものだが、初期ヴァージョンやアウトテイクが全20曲収録されており、『ミラージュ』の世界観をより広く、より深く掘り下げることが可能だ。

    スティーヴィーとリンジー、そしてクリスティン・マクヴィーという3人のシンガー・ソングライターを擁するこの時期のマックは、セールス面でいえば文句なしの“黄金期”だった。『噂』で徹底したポップでキャッチーな音作りをした後、『牙(タスク)』ではメロディを生かしながらも実験的なアプローチも取っていた彼ら、『ミラージュ』では再びポップにメーターを振り切ったサウンドが復活している。このアルバムからは「ホールド・ミー」、「愛のジプシー」、「ラヴ・イン・ストアー」、「オー・ダイアン」、「キャント・ゴー・バック」、「ストレート・バック」と、全12曲中6曲がシングル・カット。「ホールド・ミー」が全米チャート4位というヒットを記録している。さらにアルバムも5週連続ナンバー1に輝く大成功作となった。

    なお『ミラージュ』に前後して、それぞれのメンバーはソロ活動も精力的に行っている。スティーヴィー・ニックスは『麗しのベラ・ドンナ』(1981)と『ワイルド・ハート』(1983)を連続ヒットさせており、リンジー・バッキンガムも『ロウ・アンド・オーダー』(1981)、『アイ・ゴー・インセイン』(1984)を発表。クリスティン・マクヴィーの『恋のハート・ビート Christine McVie』(1984)もヒットするなど、1980年代前半のヒット・チャートにはほぼノンストップでフリートウッド・マックあるいはメンバーの曲がエントリーしていたことになる。そうして1987年には“黄金期”ラインアップによる最後のアルバム『タンゴ・イン・ザ・ナイト』が発表され、全世界で1,500万枚というセールスを達成するのだった。

    なおスティーヴィーの『麗しのベラ・ドンナ』と『ワイルド・ハート』はそれぞれ3CD、2CDの“デラックス・エディション”として2017年1月に新装発売されることが決まっている。

    2017年にはバンド結成50周年ワールド・ツアーが予定されており、ニュー・アルバムも完成に近づいているというフリートウッド・マックだが、彼らが日本を訪れるのは1995年以来のこと。その時にはミック・フリートウッド(ドラムス)とジョン・マクヴィー(ベース)という不動のリズム・セクションにデイヴ・メイスン(ギター)、ベッカ・ブラムレット(ヴォーカル/デラニー&ボニーの娘)、ビリー・バーネット(ギター/ジョニー・バーネットの息子)というイレギュラーなラインアップだった。また1990年の来日公演にはリンジーが不参加だったため、“黄金期”による来日は1980年が最後となる。なんと『ミラージュ』発表以前、37年前なのだ。

    ぜひフリートウッド・マック結成50周年ツアーでは久々に日本に立ち寄って、その珠玉のサウンドを披露してもらいたい。彼らが“ミラージュ=蜃気楼”でなく、ポピュラー音楽の歴史に確固たる足跡を残したバンドであることを日本のファンに証明するために、である。

    2017年1月 5日音楽ジャーナリスト&ライターの眼(1版)掲載 執筆記者:山崎智之

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