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    歴代最強の布陣が揃ったサマーソニック2016、オススメはオフスプリング!

    配信日: | 配信テーマ:洋楽その他

    夏といえば夏フェスである。

    洋楽ポピュラー系の夏フェスで7月のフジ・ロック・フェスティバルと双璧を成すのが、毎年8月上旬に開催されているサマーソニックだ(以下サマソニ)。

    幕張と大阪で2日間、出演アーティスト陣をほぼ総入れ替えする形で行われるこのフェスは、2016年に第17回を迎える。洋邦ベテランから新人まで数多くのアーティストのライヴが複数ステージで同時進行。東京・大阪の中心部から約1時間の距離で開催され、ライヴが終わったら帰宅することも可能な都市型フェスというのがウリのサマソニだが、2015年の幕張ではオールナイトの『ソニックマニア』と『ホステス・クラブ・オールナイター』があったおかげで金曜の夜から日曜の夜までライヴ漬けで、帰宅できない異常事態となった。

    2016年は『ソニックマニア』がなくなったが、そのぶん土日の通常版サマソニに豪華アーティストを集結させた感がある。メイン・ステージの両日ヘッドライナーにはアンダーワールドとレディオヘッドという、歴代サマソニ最強といって過言でない大物を持ってきたし、ファーギーやフロー・ライダー、マーク・ロンソンなど2016年の世界のポップ・ミュージックの“顔”といえる面々から、サカナクション、THE YELLOW MONKEY、ゲスの極み乙女。など日本のロック/ポップ界にその名を轟かすバンド勢、和田アキ子やジャクソンズなどの大ベテラン、世界的にその名を知られる上原ひろみザ・トリオ・プロジェクトfeat.アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップス、今がまさに旬のTHE 1975やHIATUS KAIYOTEなど、何度もステージを移動しまくる2日間となる。

    幕張のみに出演するサード・アイ・ブラインドは精力的なライヴ・サーキットで鍛え上げた実力派モダン・ロック(今や死語)の雄で、やはり見ておきたいところだ。

    さらにヘヴィめなところではアット・ザ・ドライヴ・インとブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインがステージを蹂躙するであろうし、『ホステス・クラブ・オールナイター』にはダイナソーJrやアニマル・コレクティヴ、ディアハンター、テンプルズなど、寝ている場合ではない豪華なラインアップが出演する。

    そんな中で何が何でも見ておきたいのが、サマソニの歴史と共に歩んできた“サマソニの裏番長”オフスプリングだ。

    1990年代以降のモダン・パンクを代表するバンドのひとつであるオフスプリングは1994年のサード・アルバム『スマッシュ』とシングル「カム・アウト・アンド・プレイ」で全米ブレイク。1998年の『アメリカーナ』は全米チャート2位というメガヒットを記録した。2001年には幕張メッセ2公演を含む単独ツアーを行った彼らだが、翌2002年には第3回サマソニに堂々ヘッドライナーとして出陣している。話題性としてはもうひとつのトリであるガンズ&ローゼズに及ばなかったものの、世界トップ級のライヴ・パフォーマンスは、この年のサマソニのハイライトだった。

    オフスプリングがサマソニに戻ってきたのは2007年のことだ。スタジアムのマリン・ステージに当時若手のアークティック・モンキーズを抜擢したこの年のイベントだが、オフスプリングはセカンド・ステージであるマウンテン・ステージのメインとして、若干不安のあった観客動員をブーストすることに貢献した。アークティック・モンキーズとオフスプリングに加えて、この年はペット・ショップ・ボーイズ、DJシャドウなど、“複数エース制”を取っていたといえる。

    2008年10月の単独ツアーを経て、3度目のサマソニ出演は2010年となった。このときはジェイ-Zの前、セミ・ヘッドライナーとしてのスタジアム出演。時代を代表する大物プロデューサーでパフォーマーのジェイ・Zとはいえ、日本市場においてはかなりの冒険だったが、オフスプリングは当然のように最高のステージで、大観衆を前にして最高に楽しいエンタテインメントとしてのパンク・ロックを披露してくれた。

    サマソニが新しいチャレンジを行うとき、それをガッチリ支える存在として、オフスプリングは最も頼りになる存在なのだ。

    2012年にはサマソニと同じクリエイティブマンプロダクションが主催する春の『パンクスプリング』フェスでヘッドライナーを務めたオフスプリングだが、この日は暴風雨で京葉線が朝から夕方まで運休というアクシデントに見舞われながら、それ以上にワイルドなライヴは前年、東日本大震災の余波で中止となった『パンクスプリング』が完全復活を遂げたことを証明するものだった。

    そして2016年、オフスプリングはサマソニに還ってくる。「プリティ・フライ(フォー・ア・ホワイト・ガイ)」「ザ・キッズ・アーント・オールライト」「カム・アウト・アンド・プレイ」「ワイ・ドンチュー・ゲッタ・ジョブ?」「ウォンチュー・バッド」などのオールタイム・ベストは何度となくサマソニを盛り上げてきた名曲だし、2012年の『デイズ・ゴー・バイ』以来となるニュー・アルバムを完成させたといわれる彼らゆえ、新曲もプレイされるかも……?という期待もある。

    2016年のサマソニは歴代最高のひとつといえるラインアップで、フェス当日までにはチケット売り切れの可能性もあるようだ。オフスプリングの出演する幕張初日/大阪2日目にはアンダーワールドとアット・ザ・ドライヴインが各ステージのトリとして出演することが決まっており、出演時間のバッティングが怖いところだが、これまでサマソニを幾度となく盛り上げてきた“裏番長”の帰還を盛り上げたい。きっと彼らは最高のステージで応えてくれるだろう。




    ●サマーソニック2016
    日程:2016年8月20日(土)・21日(日)
    東京会場:QVCマリンフィールド&幕張メッセ
    大阪会場:舞洲サマーソニック大阪特設会場

    ●ホステス・クラブ・オールナイター
    日程:2016年8月20日(土)22:00開場/23:15開演
    会場:幕張メッセ

    公式サイト:http://www.summersonic.com/

    2016年7月21日音楽ジャーナリスト&ライターの眼(1版)掲載 執筆記者:山崎智之

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