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    第20回を迎えるフジ・ロック・フェスティバル16。レッド・ホット・チリ・ペッパーズがフェスと共に歩んだ軌跡

    配信日: | 配信テーマ:洋楽その他

    2016年、フジ・ロック・フェスティバルが第20回を迎える。

    現代の日本における音楽フェス・カルチャーのパイオニアとして1997年にスタート。ロック界のトップ・アーティストから中堅やベテランの実力派、そして期待の新人まで200を超えるアーティストが大自然の中でライヴを繰り広げる3日間のイベントには、毎年のべ10万人以上が集結する。

    フジロックを人生の中心に据えて、この3日のために働き、貯金する通称“フジロッカー”も多い。

    筆者(山崎)も第1回から欠かさず参戦しており、趣味と仕事を兼ねたイベントとして楽しみにしている。残念ながら20年フル参加でなく、1日しか行くことが出来なかった年もあるが、会場を訪れなかった年は一度もない。

    フェス自体を楽しむことはもちろん、その前後に起こったことも思い出としていつまでも残る。アメリカで『オズフェス』とスリップノットとスレイヤーがトリを務めた『TATTOO THE EARTH』フェスを見て土曜に帰国、日曜だけ参加した2000年(ラムシュタイン、CTHONIC、ア・パーフェクト・サークル、ゼブラヘッドなどヘヴィ勢が多かった!)、原稿仕事が忙しすぎて本当なら行くことが不可能なところ、どうしてもメルヴィンズを見たくて強硬参加して現地滞在が1時間半だった2009年など、参加できなかった背景も今でも頭に浮かぶ。苗場で過ごす3日間(プラス前夜祭など)だけがフジロックではない。その前後の人生すべてをひっくるめたのがフジロックなのだ。

    昨年(2015年)はデイヴ・グロールが足首を骨折しながら“玉座”に座ってライヴを完遂したフー・ファイターズ、レミー・キルミスターが残された生命を振り絞るような凄演を見せたモーターヘッドなど、幾つものドラマが生まれたが、今年(2016年)もシガー・ロス、ベック、レッド・ホット・チリ・ペッパーズを最大のグリーン・ステージのヘッドライナーに迎えて、“何か”が起こる雰囲気を漂わせている。

    そんな中でもフジロックの重要なターニング・ポイントを彩ってきたレッチリのステージは必見中の必見だ。

    レッチリといえば1997年、第1回のヘッドライナーだった。山梨県富士天神山スキー場地区で行われたこの年のフジロックは台風に見舞われている。ベーシストのフリーが「俺はクロサワ・アキラを尊敬している!」と観衆に告げながら、彼らの前にプレイしたTHE YELLOW MONKEYの吉井和哉を真似して「ジャパニーーズ!」と連呼。ステージ倒壊の恐れがあるとしてショーは短縮ヴァージョンとなり、彼らは唐突に「ギヴ・イット・アウェイ」をプレイして、ステージ上で楽器を蹴散らすようにして去っていった。バンドにとって1997年のたった1回のライヴはデイヴ・ナヴァロにとって最後の公演となったが、台風のおかげもあり、凄まじい混沌のステージとなった。

    レッチリがフジロックに戻ってきたのは2002年のことだ。1999年に現在の苗場に会場を移して3回目のフェスということで、まったく運営には問題がなく、彼らは本領発揮のステージを披露した。この日のアンコールでは「ギヴ・イット・アウェイ」でジョージ・クリントンが飛び入り参加。1993年のグラミー授賞式でも実現した夢の共演が日本で再現されることになった。

    さらにレッチリは、第10回の節目となる2006年のフジロックにも参戦。このときは「ダニー・カリフォルニア」が映画『デスノート』とタイアップという話題もあり、従来の彼らのファンのみならず幅広い層を巻き込んでのライヴ・スペクタクルとなった。

    そして2016年、レッチリはフジロックに帰ってくる。最新アルバム『ザ・ゲッタウェイ』を引っ提げてのステージがどんなものになるか、知っているのは苗場の山の神々だけだ。

    ただ、フジロックの観衆は知っている。彼らのライヴがとてつもなく凄いものになる、ということを。

    ロックの聖地が静かに、我々を待っている。祭典の3日間はもうすぐだ。



    ●「SMASH go round 20th Anniversary」 FUJI ROCK FESTIVAL '16

    開催日程:2016年7月22日(金)、23日(土)、24日(日)
    開催地:新潟県 湯沢町 苗場スキー場
    主催:SMASH CORPORATION
    企画・制作:SMASH CORPORATION / HOT STUFF PROMOTION / DOOBIE INC.

    総合問い合わせ/オフィシャルサイト:
    http://www.fujirockfestival.com

    2016年7月14日音楽ジャーナリスト&ライターの眼(1版)掲載 執筆記者:山崎智之

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