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    2016年7月、アルバート・リーが来日。クリス・ファーロウとの1960sブリティッシュ黄金コンビが日本で初めて実現

    配信日: | 配信テーマ:洋楽

    2016年7月、アルバート・リーが来日公演を行うことになった。

    イギリス人でありながらアメリカン・フィーリングのあるカントリー・ギターの名手として知られるアルバートは日本でも高い人気を誇り、エリック・クラプトンやスティーヴ・モーズとの来日共演も実現している。近年アルバートは2013年1月、2014年6月と、コンスタントに日本のステージに立っており、本サイト『音楽ジャーナリスト&ライターの眼』でも記事を組んでいる(※)。

    今回の来日で注目なのは、スペシャル・ゲストにクリス・ファーロウを迎えるスペシャル編成での公演ということだ。

    クリスは1950年代から活動、イギリスを代表するブルー・アイド・ソウル・シンガーとして君臨してきた。1960年代にはアルバート・リーを含むサンダーバーズを率いて、「アウト・オブ・タイム」「シンク」などローリング・ストーンズ・ナンバーを連続ヒット。1970年代にはコロシアムやアトミック・ルースターなどに加入してブリティッシュ・ハード/プログレッシヴ・ロックの歴史に名を刻み、1980年代には元レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジのソロ・バンドでも活動している。

    1940年生まれというからポール・マッカートニー(1942年生まれ)やミック・ジャガー(1943年生まれ)より年上の75歳というクリスだが、まったく歩みを止めることがなく、年間100回以上のライヴを行っており、ソロ・コンサートに加えてビリー・J・クレイマーやP.P.アーノルドら1960年代以来の盟友らとの懐メロ・パッケージ・ツアーも実現。さらにコロシアム時代の仲間クレム・クレムソンとの共演も行った。ロンドンでの単独公演の会場は950人収容のカドガン・ホールと、根強い人気を誇っている。

    ウェブで見ることの出来る近年のステージ・パフォーマンスは元気いっぱいで、歌声のハリも文句なし。今回の日本公演は“スペシャル・ゲスト”ということで、数曲のみの参加となりそうだが、年輪を経て渋みを増したソウルフル・ヴォイスを聴かせてくれるだろう。

    一方のアルバート・リーも1943年生まれ、72歳と決して若くはないが、その超絶カントリー・ピッキングが健在であることは2013年、2014年の日本公演をエクスペリエンスしたファンだったらご存じだろう。

    彼は2014年3月に“70歳記念コンサート”をロンドンの同じカドガン・ホールで行っており、元ローリング・ストーンズのビル・ワイマンや英国ロックンロールの重鎮デイヴ・エドモンズ、イギリスの誇るロカビリー・シンガーのシェイキン・スティーヴンズ、「ストリーツ・オブ・ロンドン」で知られるフォーク歌手ラルフ・マクテル、かつてエリック・クラプトンのバンドで共演したアンディ・フェアウェザー・ロウなど、豊潤なる英国ポップ・ミュージックのアーティスト達がゲスト参加した。

    もちろんこのショーにはクリスも友情参加、Tボーン・ウォーカーのブルース・ナンバー「ストーミー・マンデイ」、ボビー・パーカーの「ウォッチ・ユア・ステップ」というスタンダードを歌っている。

    2007年にはコロシアムの日本公演に同行したクリスだが、はたして今回どんな曲でその喉を震わせてくれるか。古き良きブリティッシュ・ロックを愛する者だったら注目のライヴなのである。

    もちろんアルバートの十八番「カントリー・ボーイ」を演奏せずにステージを後にすることはないだろうし、ロックンロールやR&Bのスタンダードの数々も聴きたいところ。そして何よりも、アルバート&クリスの黄金コンビが初めて日本で実現するのが楽しみだ。

    70歳オーバーだから出来るロックもある。彼らの来日公演は、我々を1960年代スウィンギング・ロンドンへといざなってくれる。


    <公演情報>
    ALBERT LEE with special guest CHRIS FARLOWE
    アルバート・リー ウィズ・スペシャル・ゲスト・クリス・ファーロウ

    日時:
    ■7月14日(木)、7月15日(金)
    18時開場/19時半開演
    ■7月16日(土)、7月17日(日)
    [1st] 16時会場/17時開演
    [2nd] 18時半会場/20時開演

    会場:
    コットンクラブ
    http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/albert-lee/



    (※)以下記事もご参照ください。
    「2013年1月に来日するアルバート・リーが日本で繰り広げてきたギター・バトルの数々」
    http://www.yamaha.co.jp/ongakukiji/news.php?no=14227
    「アルバート・リー・インタビュー / クラプトン、ストーンズ、ディープ・パープルを語る」
    http://www.yamaha.co.jp/ongakukiji/news.php?no=14250

    2016年7月 7日音楽ジャーナリスト&ライターの眼(1版)掲載 執筆記者:山崎智之

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