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    『スター・ウォーズ』LOVEを貫くバンド、アッシュとヌースグラッシュが2016年3月に来日

    配信日: | 配信テーマ:洋楽その他

    2015年12月に公開されるや、世界規模で大ヒットを記録した映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。1977年に第1作が公開されて(日本では1978年)以来、時代を超えて愛されてきた名作シリーズの最新作ということで大きな注目を集めたが、第7作ではおなじみのキャラクター達が総登場してオールド・ファンは感涙にむせばせたのに加えて、新しい主人公たちを迎えて“スペース・アドベンチャー”の原点に立ち返っている。

    早くもアメリカでは2016年4月にDVD/ブルーレイ発売も決まり、 本稿を書いている時点では日本発売に関する公式アナウンスはないものの、ほぼ同時期となることが予測される。そんな『スター・ウォーズ』旋風が吹き荒れる2016年春、 『スター・ウォーズ』を愛してやまない2大バンドが日本でツアーを行うことになった。

    2016年3月下旬に約5年半ぶりの単独来日公演を行う(ただし2015年のフジ・ロック・フェスティバルにも出演)アッシュは、筋金入りの『スター・ウォーズ』ヲタ・バンドだ。デビュー・アルバム『1977』(1996)のタイトルはメンバー3人が1977年に生まれたこと、そして第1作『スター・ウォーズ/新たなる希望』の公開年にちなんでいる。

    このアルバムの1曲目「ルーズ・コントロール」イントロにはTIEファイターの効果音が加えられており、最後の曲「ダークサイド・ライトサイド」はフォースの両面をタイトルにしたものだ。

    また、同作収録曲「ガール・フロム・マーズ」がシングル化されたとき、B面には映画の収録曲である「カンティナ・バンド」がカヴァー収録された。

    アッシュは映画『普通じゃない』(1997)に主題歌「ア・ライフ・レス・オーディナリー」を提供したことで、主演俳優だったユアン・マクレガーと親交を深める。その後すぐ、マクレガーが『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)で若い頃のオビ・ワン・ケノービを演じることが決定。映画の完成記念パーティーでライヴを演奏するに至ったが、それから若干距離を置くようになった。それはデビュー当時のようにジャッキー・チェン、ハルク・ホーガン、『人類SOS!』など固有名詞を頻出させる芸風ではなくなったことも理由だろうが、彼らの『エピソード1』への評価を暗示させるものだ。

    はたして彼らが『フォースの覚醒』をどう見たのか、気になるところである。

    2016年3月下旬から4月にかけて来日公演を行うヌースグラッシュ(NOOTHGRUSH)は重苦しく引きずるようなスラッジ・ドゥームで知られるバンドだ。情け容赦のないエクストリームなサウンドはユーモアなど入り込む隙のない苛酷で苦痛に満ちたものだが、彼らはしばしば『スター・ウォーズ』ヲタぶりをアピールしている。

    「ジャンドランド・ウェイスツ」(タトゥイーンの荒れ地)、「ダイアノーガ」(デス・スターのゴミ処理場に住む生物)、「カシーク」(チューバッカの出身地)、「シス」(暗黒面のフォースを使う悪者)などの曲タイトルを冠したオリジナル曲に加えて、「帝国のマーチ」カヴァー、そしてジャケットにタスケン・レイダーを使用するなど、スラッジ・ドゥームと『スター・ウォーズ』を愛するファンにはたまらない。これまで彼らの作品は日本ではコフィンズとのスプリットCDが発売されたのに留まるが、これが2度目の来日というのも、そんなファンに支えられているのだといえる。

    両バンドについて言えるのは、どちらも昨日今日『スター・ウォーズ』にハマったわけではなく、年季の入ったファンだということだ。今回の来日にしても特に『フォースの覚醒』とタイアップしたのでも何でもなく、普段からやっていることだ。彼らの『スター・ウォーズ』愛は、恒常的なものなのである。

    単なる映画シリーズの域を超えて、ひとつの文化アイコンとして支持されるのが『スター・ウォーズ』だ。エロおっぱいヒップホップ・グループ、2ライヴ・クルーのルーサー・キャンベルは芸名をルーク・スカイウォーカー(綴りはSkyywalker)として、『ルーク・スカイウォーカー』レーベルを設立したところ告訴されそうになって改名を余儀なくされた。

    またメタル・バンドのマシーン・ヘッドも『スーパーチャージャー』(2001)で「帝国のマーチ」をレコーディングしている(最終的に収録されなかった)。

    さらにジョー・サトリアーニは近年アルバムをジョージ・ルーカス所有の『スカイウォーカー・サウンド』でレコーディング、すっかりルーカスと顔なじみになったという。

    もちろん『スター・ウォーズ』うんぬんは抜きにして、彼らはそれぞれが優れたロック・アーティストである。だが『スター・ウォーズ』のファンだったら、彼らの音楽に新しい光を見出すことが出来るかも知れない。ロックは我々を取り囲み、貫き、宇宙をまとめ上げるものなのだ。



    <アルバム情報>
    ●アッシュ
    最新アルバム『カブラーモ!』(発売中/BIG NOTHING/OTCD-4411)

    ●ヌースグラッシュ
    『ヌースグラッシュ+コフィンズ』[コフィンズとのスプリットCD](発売中/デイメアレコーディングス/DYMC-208)


    <公演情報>
    ●ASH JAPAN TOUR 2016

    日時:3月22日(火)OPEN 19:00 START 20:00
    会場:東京 恵比寿 LIQUIDROOM
    問い合わせ:SMASH 03-3444-6751

    日時:3月23日 (水) OPEN 19:00 START 20:00
    会場:大阪 SHANGRI-LA
    問い合わせ:SMASH WEST 06-6535-5569


    ●NOOTHGRUSH JAPAN TOUR 2016 with NEPENTHES
    ---- The Endless Nightmare Tour ----
    3月
    27日(日)横浜El Puente
    30日(水)岡山 Pepperland
    31日(木)福岡 Kieth Flack
    4月
    1日(金)高知 Chaotic Noise
    2日(土)大阪Hokage
    3日(日)福井 Velvet
    4日(月)金沢 Vanvan V4
    6日(水)名古屋 Huck Finn
    7日(木)横浜 El Puente
    8日(金)仙台 Birdland
    9日(土)東京 Earthdom

    ※3月27日以外はNEPENTHESが参加。
    出演バンド/開演時間/チケットに関しては各会場まで。


    2016年3月17日音楽ジャーナリスト&ライターの眼(1版)掲載 執筆記者:山崎智之

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