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    【インタビュー】トニー・マカパイン回復祈願<後編>

    配信日: | 配信テーマ:洋楽

    前回に続いて超絶テクニカル・ギタリスト、トニー・マカパインのインタビューの後編をお届けする。

    2015年9月に予定されていた来日公演はいったん中止となってしまったが、トニーが再び元気に日本のステージでそのギター・プレイを披露してくれる日を楽しみにしたい。

    後編では彼の受けた影響やミッシェル・ポルナレフとの共演、今後のプロジェクトなどについて語ってもらった。

    ●1986年のデビュー・アルバム『エッジ・オブ・インサニティ』以前に、プロフェッショナルとしてレコーディングしたことはありましたか?

    まだ東海岸でブラストというバンドでやっていた頃、幾つかラジオ用のジングルをレコーディングしたことがあったよ。WHYNラジオのIDやCMのBGMとかに使われたけど、半分以上はどんな用途かも知らないんだ。俺がギターを弾いて、それに誰かがCMソングをオーヴァーダブしたりするからね。いちおうギャラは出たけど、俺はまだプロとはいえなかった。ロードスターというバンドで、ブラック・サバスの前座を務めたり、地元でそこそこ知名度はあったけど、すべてが動き出したのは1984年、『ギター・プレイヤー』誌でマイク・ヴァーニーがやっていた“スポットライト”コラム記事で紹介されたことだったよ。

    ●当時の地元のミュージシャン仲間で全米レベルの成功を収めた人はいますか?

    俺の知る限りではいないね。マサチューセッツ州スプリングフィールドは決して大きな都市ではないし、ニューヨークやLAのように成功できる舞台がなかったんだ。ただ近年ではいろんなバンドが出てきて、成功しているけどね。俺が7〜8年間ギターを教えていたマイク・ムショック(日本での表記はミューショック)は、ステインドで活躍している。実は彼のお母さんは俺がハイスクールの頃の先生だったんだよ。

    ●ギターを弾き始めた頃に影響を受けたギタリストを教えて下さい。

    ジョニー・ウィンターやジョージ・ベンソン、エディ・ヴァン・ヘイレン、ランディ・ローズ…ただ、俺の音楽スタイルを形作ったのはギタリストだけではなく、クラシック音楽家たちなんだ。ベートーヴェン、リスト、モーツァルト、ショパンなどだった。でも本格的にプロのロック・ギタリストを志したのは、オジー・オズボーンのライヴを見たときだった。ギタリストはジェイク・E・リーで、これが俺のやりたいことだ!と確信したんだ。

    ●あなた自身は、オジーのバンドのオーディションを受けたことはありませんか?

    ないよ。俺の友達で受けた人はけっこういるけどね。ジョージ・リンチもそうだし…。

    ●スティーヴ・ヴァイも1990年代半ばにオジーと『X-レイ』というアルバムを作りましたね(未発売)。

    それは知らなかった。今度スティーヴに訊いてみるよ。彼はすごい才能のギタリストだし、どんなバンドでやっても成功するだろうね。

    ●スティーヴ・モーズがディープ・パープルに、ヴィニー・ムーアがUFOに加入するなどしていますが、あなたも既存のバンドへの加入をオファーされたことはありませんか?

    そういえば一度もないな(苦笑)。もし話があっても、受けるか判らないけどね。ディープ・パープルやUFOみたいに、強烈な個性を持ったギタリストがいたバンドで後任を務めるのは、とてつもなく大変な仕事だと思う。俺がそれをやりたいかは、実際にオファーがあったらじっくり考えてみる必要があるよ。ただ俺の場合、既にある音楽をプレイするより、新しい音楽を創っていく作業が楽しいんだ。

    ●ポートノイ/シーン/マカパイン/シェリニアンではドリーム・シアターやジェフ・ベックのカヴァーをプレイしましたが、それはどんな経験でしたか?

    彼らは一流のプレイヤー達で、一緒にやって楽しかったよ。ただ全員のスケジュールを調整するのが難しかったのと、俺がカヴァー曲よりもオリジナル曲をやりたかったことで、長続きしなかった。ただ、機会があればまた一緒にやりたいね。そのときは新曲を書いて、それをプレイするツアーにしたい。

    ●2007年にミッシェル・ポルナレフと共演したのは、どんな経緯だったのですか?

    俺はCABというバンドでベーシストのバニー・ブルネルと一緒にやってるけど、彼が子供の頃からミッシェルの友達だったんだ。それでミッシェルがフランスでカムバック・コンサートを行うにあたって、バニーがベースを弾くことになって、CABがバック・バンドみたいな形になった。ミッシェルはCABがLAでライヴをやるとき、よく見に来ていたし、俺たちの演奏が気に入ったらしい。それで俺がギタ−、ヴァージル・ドナーティがドラムス、ミッチ・フォアマンがキーボードを弾くことになったんだ。ミッチはミッシェルと気が合わなくて、途中で離脱したけどね。

    ●ミッシェル・ポルナレフの音楽は知っていましたか?

    いや、まったく知らなかった。アメリカではミッシェルは決して有名ではないんだ。でもLAで1ヶ月かけてオーディションをして、それからフランスのリモージュにある巨大なホッケー場で2ヶ月リハーサルをして、さらにライヴ会場のベルシー・アリーナでリハをやったんだ。イベント規模のでかさで、彼が本国フランスでは超がつくスーパースターであることに、さすがに気付いたよ。

    ●「シェリーに口づけ」「愛の願い」などは、日本でも人気がありますよ。

    それは凄いね。ミッシェルの音楽はポップだけど、彼がフランス人だからか、コード進行からヨーロッパのクラシック音楽の要素を感じたよ。俺自身はあまりポップ・ヒット曲を聴くことがないし、フランス語の歌詞も判らないから、彼の音楽について語る位置にないと思うけど、実に興味深い経験だった。今になって思えば、バンドの演奏はオリジナルよりかなりヘヴィだったと思う。ミッシェルのオールド・ファンが求めているアレンジとは少し異なったかも知れないね。…確か、ミッシェルと日本でもライヴをやる話があったんだよ。でもしばらくして、改訂されたスケジュール表を見たらブリュッセルだかに変更されていた。理由は知らないけど、日本のミッシェルのファンが気の毒だなあと思ったよ。

    ●来日公演後の12月にはイスラエルのテルアビブで開催される『タイタンズ・オブ・メタル』オールスター・ジャムに出演しますが、メタル界のアーティストとは交流があるのですか?

    自分がプレイしている音楽がメタルだとは言わないけど、ハードなエッジがあるし、メタルとの親和性は高いと思う。ドラゴンフォースのハーマン・リとは友達だし数年前、メタルのオールスター・プロジェクト“ヘイル!”でリッパー・オーウェンスとスコット・トラヴィスと一緒にプレイしたよ。まあ、毎日メタルのレコードを聴いているわけではないけどね。最近は自分の曲を書くので忙しくて、他人の音楽を聴く時間がまったくないんだ。

    ●あなたの最新アルバム『コンクリート・ガーデンズ』について教えて下さい。

    去年の夏から秋にかけて、パサデナの自宅のスタジオでレコーディングしたんだ。エネルギーにあふれていて、プログレッシヴなアルバムだよ。大量のギターが入っていて、キーボードは少なめだ。ネヴァーモアのジェフ・ルーミスは友達で、ギター・ソロでゲスト参加している。

    ●今後どんなプロジェクトでの活動を予定していますか?

    今、『コンクリート・ガーデンズ』に続くソロ・アルバムの曲を書いているところだ。それとバニー・ブルネル、ミッチ・フォアマン、ダグ・ウェブ、トム・ブレヒトラインとのジャズ・バンドでもアルバムを作る予定だよ。チック・コリアにもゲスト参加してもらいたい。このアルバムはおそらくCAB名義にはならないと思う。

    ●それでは9月の来日公演を楽しみにしています。

    うん、 日本でプレイするのはいつだって楽しい経験だよ。俺は常に高品質のエンタテインメントを志しているし、ハイ・エナジーの音楽を提供するつもりだ。日本のファンや友達と会えるのを楽しみにしているよ。

    2015年10月 8日音楽ジャーナリスト&ライターの眼(1版)掲載 執筆記者:山崎智之

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