音楽ジャーナリスト&ライターの眼 ~今週の音楽記事から~

新聞社の音楽記事、音楽ライターによる書き下ろし記事を集めたウェブサイトです。(毎週、月・木更新)

音楽ライター記事

つぶやく・ブックマークする

    2013年5月、『オズフェス・ジャパン』が日本初上陸

    配信日: | 配信テーマ:洋楽 

     2013年5月11日(土)・12日(日)、幕張メッセで『Ozzfest Japan 2013』が開催されることが発表された。1996年にアメリカの2都市で第1回が開催されてから17年、メタル系フェスティバルの一大ブランドとして知られてきた『Ozzfest=オズフェス』が遂に日本初上陸!というニュースは、日本全土を揺るがしているといって過言ではない。両日のヘッドライナーはスリップノット、そしてブラック・サバス。オジー・オズボーン、トニー・アイオミ、ギーザー・バトラーというオリジナル・メンバー3人が揃ったラインアップが日本でプレイするのは、これが初めてとなる。

     大物バンドから、その時代ごとの”旬”のアーティスト、期待の新人までがステージを彩ってきた『オズフェス』だが、実は日本開催の構想は、かなり初期段階からあった。1997年秋の時点で、オジーの奥方兼マネージャーで、フェスの総責任者であるシャロン・オズボーンは、日本開催の可能性について語っている。彼女は「ぜひ日本でも『オズフェス』をやりたい」という意向を見せながらも、「ただし日本には、一日をロック・フェスティバルで過ごすという文化がない。その問題を解決しなければならない」と冷静に分析していた。彼女がそう発言したのは、まだ第1回『フジ・ロック・フェスティバル』が行われた直後で、まだ『サマーソニック』が存在すらしなかった時期。それから日本にもフェス・カルチャーが定着し、『オズフェス』と同様にメタル系アーティストが出演する『ラウド・パーク』も7年連続で行われ、成功を収めてきた。そんな状況下、シャロンも機が熟したと判断したのだろう。

     2012年11月1日現在、発表されている出演アーティストはメインの2組のみだが、第1回に相応しく、まさに最強のラインアップをぶつけてきた。スリップノットは2008年の『ラウド・パーク』以来となる来日で、ベーシストのポール・グレイの死を乗り越えての復活ライヴとなる。

     そして、ブラック・サバスである。1980年に初来日した彼らだが、この頃オジーは既に脱退済み。ヴォーカルはロニー・ジェイムズ・ディオがとっていた。その後、シンガーにトニー・マーティンを迎えて日本を訪れている彼らだが、サバス名義で来日するのは何と、1995年11月の『フォービドゥン』ツアー以来となる。2007年には”ヘヴン・アンド・ヘル”名義で来日公演を行うなどしてきたが、オジーが歌うブラック・サバスはこれが正真正銘、初めてとなる。1970年のデビューから43年という長い時間を要したが、日本中のメタル・ファンが夢にまで見た瞬間が遂に訪れることになったのだ。

     ここまでの道のりは決して順風満帆なものではなかった。1997年に奇跡の再合体を果たしたオリジナル・サバスだが、ドラマーのビル・ワードが心臓疾患で離脱。新作スタジオ・アルバムに着手するも頓挫し、2009年にはバンドの名義をめぐってオジーとトニーが裁判沙汰になるなどしている。結局和解に達した彼らは2012年、ツアーとアルバム制作に入るが、今度はトニーがリンパ腫と診断される。また、ビルは「契約条項に納得いかない箇所がある」として、バンドに復帰せず。2013年の来日公演、そして大洋州ツアーのラインアップに、ビルの名前はない(ただし最終的な決断は下されていない)。オリジナル・メンバー4人全員が揃う可能性は低そうだが、オジー、トニー、ギーザーの3人によるステージを日本で見る日が、遂に来るのだ。

     この記事を書いている時点で、まだ2バンド以外の出演アーティストは明らかになっていないが、”ロック、メタル、パンクを軸とした”、”国内•海外バンド”が登場すると発表されている。『オズフェス』の看板を引っ提げて日本に上陸するだけあり、凄いラインアップが期待できるし、2010年に行われた『オズフェス・イスラエル』で地元出身のアルマナ・シュコーラをセカンド・ステージのトリとしたように、思い切った邦楽バンドの起用もあるかも知れない。

     2013年5月、日本のメタルの歴史が変わる。『オズフェス』の動きに、これからも注目だ。


    ●開催概要
    Ozzfest Japan 2013
    http://www.ozzfestjapan.com/
    (オズフェス ジャパン ニーゼロイチサン)
    2013年5月11日 (土)・12日 (日)
    OPEN 10:00 / START 12:00 (予定・両日共通)
    幕張メッセ国際展示場 9~11 ホール

    2012年11月 8日音楽ジャーナリスト&ライターの眼(1版)掲載 執筆記者:山崎智之

    音楽ライター記事一覧を見る

    洋楽 のテーマを含む関連記事

    ライブらり:天使の歌声を凌駕するシンデレラ・ヴォイスの初来日(レキシ・ワーカー@渋谷・公園通りクラシックス)

    テレビのワイド・ショーにも出演していたので、目にした人が多いかもしれません。2002年3月31日生まれ、来日当時は11歳というソロ・ヴォーカリストのレキシ・ワーカーが、プレス向けのショー・ケースを開催したので出掛けてみました。レキシちゃんに注目が集まったのは昨年5月のこ...

    【ライヴ・レビュー】スラッシュ・ドミネーション2014/混迷の時代を先取りしたスラッシュ・メタル

     2014年前半のスラッシュ・メタル勢による来日ラッシュは、まさに“侵略・蹂躙”といえるものだ。1月にはジャーマン・スラッシュ界にそびえ立つデストラクションが上陸。3月にはベイ・エリア・スラッシュの覇者テスタメントがデヴィルドライヴァーを従えてジャパン・ツアーを行った。...

    ジンジャー・ワイルドハート・インタビュー/アルバム『アルビオン』、2014年6月の来日公演、そして終わりなき音楽談義

     ジンジャー・ワイルドハートのニュー・アルバム『アルビオン』には、すべてがある。ハードでメロディアス、エクストリームでポップな本作は、ワイルドハーツやヘイ!ヘロー!などさまざまなバンドで活躍する彼の集大成といえるものだ。嬉しいとき、悲しいとき、どんな気分のときも、聴く人...

    [ALL ABOUT]リトル・ミックス 友情と結束 爆発的パワー

     ◇Pop Style vol.392 デビューから2作連続でシングルが全英ヒットチャート1位に。その勢いはアメリカにも伝わり、初アルバムは全米チャートトップ5入り。女性4人組のリトル・ミックスは、英国のオーディション番組が生み出した新たなスターだ。飾らず、あけすけで、...

     

    ページの先頭へ戻る

    • RSS
    • お問い合わせ