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    遊佐未森インタビュー《夕涼みコンサート2011 A.Y.A. for East Japan》を終えて

    配信日: | 配信テーマ:Jポップ

    (取材・文:長谷川誠)

    観客の皆さんのポジティブな笑顔が心に焼きついた《夕涼みコンサート2011 A.Y.A. for East Japan》。出演者のおひとりであり、仙台出身の遊佐未森さんに、後日インタビューをお願いしました。

    ――遊佐未森さんは《みやぎびっきの会プレゼンツ~東日本大震災支援ライブ~Dream Chain~》をはじめとして、チャリティコンサートにも多数参加されてきていますが、《夕涼みコンサート2011 A.Y.A. for East Japan》の企画を聞いた時に、どう思いましたか?

     私の所属しているヤマハのミュージシャンの方々と一緒にコンサートが出来るのは初めてのことですし、素晴らしい企画だと思い、参加させていただきました。

    ――震災以降、仙台アエル、サンピア仙台などでも歌われていますが、音楽を通じて被災された方々に届けたいものは?

     仙台アエル、サンピア仙台で歌わせていただいたのは5月だったんですが、その時はまだ仙台駅も損傷が激しくて、駅に幕が張ってあるのを見て、すごく悲しい気持ちになりました。その頃はまだ街の中のいたるところにも被害の痕跡があり、アエルのロビーに出て行って、ご挨拶させていただいた時も、いつものコンサートとは全然違う空気が漂っていました。みんなが悲しみを抱いて、その場所にいることが伝わってきましたし、私自身も同じ気持ちだったので、音楽を通じて、みんな、お互いに同じ悲しみを持っているよね、だからこれから一歩ずつ、やっていきましょうっていう気持ちになれるコンサートを目指して歌っていたと思います。

    ――8月8日の《夕涼みコンサート》もそのような気持ちを持ってのぞんだのですか?

     《夕涼みコンサート》もそうですが、震災後のいろいろなコンサートで歌を歌う時にも、その時の気持ちを思い返すことが多かったです。8月8日は新幹線を降りて、移動する車から七夕のお飾りを見た時に、七夕祭りがあることが、どれほど故郷の人の心を和ませていることかと感じたので、その気持ちも持って歌いました。

    ――勾当台公園は高校時代もよくいらしていた場所とのことですが、野外ステージに立った時にどんなことを感じましたか?

     木々が子どもの頃に見ていたものよりも3倍くらい、大きくなったように感じたのですが、その木々に守られているような気がしました。木々に囲まれたステージだったので、その木々がみんなが抱いていた思いを軽くしてくれるような気もしました。

    ――当日は「いつも同じ瞳」と「I'm here with you」という2曲を歌われました。「いつも同じ瞳」は仙台クリスロードのイメージソングにもなっていて、今も流れているとのことですが。

     自分の曲が故郷の街の中で流れているのはとてもうれしいし、幸せだなと思っています。

    ――「I'm here with you」での一体感のある歌声が素晴らしかったですが、歌っている時はどんな感覚でしたか?

     この曲は2年前に書いたのですが、この星の上で草花も木々も山も動物も昆虫もそして私たち人間もともに生きているねっていう思いと、この星自体も一緒に生きているよねという思いとが湧いてきて、その気持ちを歌としてどう昇華させるか、長い時間をかけて作り上げた歌なんですが、震災以降、その時に感じた思いがさらに深まって、最近は祈りを込めるような感覚で歌っている気がします。

    ――《夕涼みコンサート》には15組のアーティストが参加していましたが、他の方々との共演はいかがでしたか?

     楽屋になっているテントで矢野顕子さんと久々にお会い出来て、ハグさせていただき、短い時間でしたが、いろいろとお話をさせていただいて、楽しい時間を過ごさせていただきました。手嶌葵ちゃんも挨拶に来てくれて、いい時間を過ごさせていただきました。

    ――《夕涼みコンサート》を終えての感想は?

     お客様も楽しもうという気持ちでいらしている方が多かったですし、笑顔がいっぱいあるイベントになったんじゃないかと思います。最後にChageさんの「まわせ大きな地球儀」をみんなでChageさんオリジナルの青いハンカチをサビのところで回しながら歌ったんですが、すごく盛り上がりましたし、みんなで並んで歌ってお客さんと思いを交換出来たのは印象的でした。“みやぎびっきの会”で支援ライヴをやった時も、Chageさんが来てくださって、この曲を歌っていただいたんですが、またこうして夕涼みコンサートでご一緒出来たこともうれしかったです。

    ――10月には仙台市天文台プラネタリウムでの《天文台コンサート ~銀河歌集Vol.2~》も控えていますが、今後の音楽活動について、抱負を教えていただけますか?

     《天文台コンサート》は今回で2回目になるんですが、丘を登っていくと、真っ白なドームが見えてくる、とても素敵な場所にありますし、故郷ですし、プラネタリウムですし、本当にスペシャルなコンサートになるんですよ。仙台のスタッフの方々と綿密なリハーサルをやって、すごくいいコンサートになったので、今回もとても楽しみにしています。今後もいくつかイベントに出る予定もありますし、新しいアルバムを作っているところです。来年の1月にアルバムをリリースする予定です。どうぞよろしくお願いします。

    遊佐未森(ゆさ みもり)/宮城県仙台市出身
    国立音楽大学音楽学部音楽教育学科卒業後、1988年、アルバム『瞳水晶』でメジャーデビュー。以降、良質かつオリジナリティ豊かな“遊佐未森の音楽”を紡ぎ続けている。「地図をください」('89年・日清カップヌードルTVCMソング)、「靴跡の花」('91年・アニメ映画『アルスラーン戦記』主題曲)、「クロ」('05年・NHK『みんなのうた』放映楽曲)など、代表作多数。《夕涼みコンサート 2011》で歌った「I'm here with you」('09年6月発表のアルバム『銀河手帖』収録曲)は、NHK『みんなのうた』および、NHK地球エコ2009のキャンペーン”SAVE THE FUTURE”でオンエアされたアニメーション『川の光』のメインテーマでもある。ライブ活動へも独自のスタンスで精力的に取り組み、通常のソロコンサートのほか、2005年に、さとう宗幸、稲垣潤一、中村雅俊ら宮城県出身のアーティストと「みやぎびっきの会」を結成し、年1回ペースで宮城県での合同コンサートを行なっている。
    公式サイト http://www.mimoriyusa.net/

    2011年9月29日音楽ジャーナリスト&ライターの眼(1版)掲載 執筆記者:長谷川誠

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