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ヤマハ、スーパースポーツカー「LEXUS LFA」の
エンジン音のサウンドデザインを担当

−2009年10月東京モーターショーで紹介−
試聴する
プロドライバーによるテストコース走行時のコックピットサウンドを体験いただけます。
LFAが奏でる3分間の演“走”を、ドライバーになった気持ちでお聞きください。
(冒頭17秒と末尾30秒は車外通過音となります)
2009年10月21日

 ヤマハ株式会社(本社:静岡県浜松市中区中沢町10-1、社長:梅村充)のサウンドテクノロジー開発センターは、10月23日から開催される第41回東京モーターショーに出展される「LEXUS LFA」において、エンジン開発に協力したヤマハ発動機株式会社とともに、量産スーパースポーツカーにふさわしいドラマチックな音響性能(感性品質)を追求したエンジン音のサウンドデザインを手掛けました。
 この「LEXUS LFA」とエンジンは同ショーのLEXUSブースで、エンジン(プロトタイプ)は、ヤマハ発動機のブースでそれぞれ展示されます。


<サウンドデザインのコンセプト>

 今回のサウンドデザインでは、LEXUSより示された「ドラマチックサウンド」のイメージを具現化するため、音を媒体としてドライバーとクルマがダイレクトにつながることを主眼に置き、以下の考え方に基づき実施することを、ヤマハ発動機とともに提案しました。
(1)ドライバーの繊細な運転操作に、敏感に反応するエンジン音を創出すること
(2)その良質なエンジン音を、余すことなく効果的にドライバーに伝えること
 この考え方は「楽器を演奏する楽しみ」に内在する演奏者と楽器の関係から導いたものです。
 楽器演奏者は、自身の作用により創出される音量や音色、ニュアンスの変化などを敏感に聴き取り、次の演奏に対して瞬時に細かな修正を重ねます。表現豊かでより高いレベルの演奏のためには、音による良質なフィードバックがとても重要であり、楽器の応答がダイレクトに感じられることが「演奏の楽しみ」につながります。

図1:「楽器と空間と演奏者」と「エンジンと車体とドライバー」に重要なインタラクションのループ 図1:「楽器と空間と演奏者」と「エンジンと車体とドライバー」に重要なインタラクションのループ

 クルマの運転においても、ドライバーの操作に対するクルマからのフィードバックはとても重要であり、特にスーパースポーツカーでは、ドライバーによる繊細な操作に敏感に応答する良質なエンジン音を届けることが「運転の楽しみ」に直結すると考えました。
 つまり、「音」がドライバーとクルマをつなぐ重要なコミュニケーション媒体となります。良質なエンジン音をきちんと伝達することにより、ドライバーはクルマの運動状態を敏感に感じとることができ、瞬時に次の繊細なアクションにつなげることが可能になります。
 このように、ヒトとクルマのインタラクションのループ(相互作用の循環)を音により刺激することで、スーパースポーツカーの運転に、より深い楽しみを提供することを目指しました。

<サウンドデザインの特長>

 今回のサウンドデザインでは、エンジン本体を「音を生み出す音源」、車体を「音の伝達装置」として位置づけ、ヒトとクルマの間のスムーズな相互作用を生み出す仕組みを提案し、採用されました。
 「LEXUS LFA」が搭載する等間隔爆発10気筒エンジン(ヤマハ発動機が開発に協力)が備える音の特徴を、直に感じられるよう、電気・電子的な音の加工や処理をすることなく、物理的な音響手段のみを駆使し、クリアで芯のある滑らかなサウンドを得ることができました。また、市街地等の通常走行時の静粛性と、ひとたびアクセルを踏み込んだ時の反応の良さを両立しています。
1.音源としてのエンジンのサウンドデザイン
 吸気系に設けられたサージタンク*注1を“音の放射体”として利用し、その肉厚やリブ形状などの最適化を図り、振動モードを制御する検討を行いました。その成果は、加速時(3000rpm周辺)には、爆発1次成分*注2のある250Hz付近を中心とする力強い倍音構成とし、高回転時(6000rpm)では、500Hz付近を中心とする倍音構成を得ることに役立てられ、艶やかで滑らかなエンジン音の実現に貢献しています。さらに高回転に向けて、高い周波数成分を増し、伸び感を感じるエンジン音を得ることができました。
*注1 サージタンク 吸気経路上にある容積を持って設けられたタンクのことで、吸気脈動や吸気干渉を整え、各気筒へ供給される吸気量のムラをなくす効果のあるパーツです。
*注2 爆発1次成分の音 エンジンの爆発周期と同じ周期となる周波数成分の音で、エンジン音の周波数特性上の基本成分となります。

図2:サージタンクの振動モードと放射音の検討 図2:サージタンクの振動モードと放射音の検討

2.エンジン音の伝達装置としての車体のサウンドデザイン
 車体には、音量や周波数バランスを調整し、サージタンクからの放射音を効果的に車室内へ導く為の複合的な伝達機構*注3を設ける提案を行い、設計に反映されました。これは、吸気音のダイレクト感を生かしつつ、耳に心地良く十分な音量のエンジン音を得るとともに、さらに、クルマと一体になったような空間的な広がりのある音がドライバーに届くことを意図したものです。
*注3 エンジン音の伝達経路とその機能
   複合的な伝達機構とは、主に以下の4つの要素から構成されています。

   (1)主伝送路    サージタンク放射音を、効率よく車室内に引き込むダクトで、車室内におけるエンジン音の基本的なラウドネス(音量感)を確保します。
(2)ダッシュ開口 エンジンルームと車室内の気密性を保ちつつ、エンジン音のみを導きます。
(3)中高域伝送路 一次共鳴周波数500Hzの音響伝送管で、その働きにより、荒削りな吸気音に艶やかさを付加し、主に中高音域の音をドライバーの耳元の左右に広がりながら伝えます。
(4)音響調整板 生々しい吸気音の音量とその周波数特性を整え、耳に心地よい吸気音に音質調整し、足元から身体を包み込むような効果を果たします。

図3:伝達機構の全体構成イメージ 図3:伝達機構の全体構成イメージ

図4:ドライバーへの音の空間的な伝達イメージ 図4:ドライバーへの音の空間的な伝達イメージ

3.新規開発の「エンジン音加工ツール」によるデザインイメージの構築と共有
 サウンドデザインの開発初期段階では、開発関係者間で目標イメージの共有をはかることが重要です。弊社は、今回のサウンドデザインにおいて、実走行状態でリアルタイムにエンジン音を変化させることができるシステムである「エンジン音加工ツール」を新規に開発しました。
 これまでのクルマの音の評価は、実験室での静的な評価が中心であり、ドライバーの操作に対するクルマの応答を評価するには十分ではありませんでしたが、このツールにより、自身の操作による実際のクルマの反応を、インタラクションのループのあるリアルな走行状態で確かめることができるようになりました。開発初期段階から本ツールを活用し、実走行状態での音の評価・検討を行うことで、関係者間で目標イメージを共有しながらサウンドデザインを進めることに役立てられました。

<ヤマハとヤマハ発動機のコラボレーション>

 両社は同じヤマハのブランドを共用しています。ヤマハ発動機が2003年の東京モーターショーで発表した電動二輪車のコンセプトモデル「dolsa wind」ではヤマハがデザインを、2007年の東京モーターショーで発表した「LUXAIR」では、ヤマハは二輪車用オーディオシステムのデザインを担当しました。また、2008年10月には、原宿にて「KEYS」という合同デザイン展を開催し、両社の強みであるデザインをアピールしています。

<ヤマハの音響設計技術について>

 当社は「良い楽器づくり」を追求するなかで、その音を伝える空間も楽器自身と同様に重要であると考え、30年以上にわたって200件を超えるホールや公共空間の音響設計を手掛けてきました。建築及び電気音響に関する知見を駆使した、多様なケースやニーズに応える当社の空間音響設計技術は、楽器や音響機器などにも応用されており、当社製品の特徴にもなっています。
 こうした、楽器や音響機器および音空間に関する永年の研究開発で得たヤマハの技術/知識/ノウハウは、音が関係する領域や商品開発に幅広く応用することが可能です。今回のクルマのサウンドデザインは、そのアプリケーションの一例です。
文中の商品名、社名等は当社や各社の商標または登録商標です。
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