当社は、まだ真空管が主流であった1959年に音源部をオールトランジスタで設計した電子オルガン、「エレクトーン」を発売したのをはじめ、電子音源やシンセサイザー、MIDI楽器、サイレントピアノなど、その時代の先端を行くさまざまな電子楽器を開発し、国内のみならず全世界で活躍する製品を送り出してきました。
このたび発売する『TENORI-ON』は、そうした当社の電子楽器技術と、メディアアーティストとしてこれまでさまざまな意欲的作品を発表、数多くの賞を受賞し、国際的にメディアアート界の第一線で活躍中の岩井俊雄氏のアイデアを組み合わせたコラボレーション製品として生み出されたもので、正方形のボード状の本体に配置したLEDボタンを使って、音楽の知識がなくても視覚的・直感的に作曲、演奏することができる、21世紀の音楽インターフェースです。
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『TENORI-ON』は縦横約20cmの正方形のマグネシウム合金のフレームの内側に、白色LEDを内蔵したボタンを縦横各16個配置し、そのボタンを押すことによって演奏を行います。フレーム部分には演奏を補助するファンクションボタン、内蔵スピーカー、液晶ディスプレイ、ジョグダイアルや各種端子(電源、MIDI、ヘッドフォン)、SDメモリーカードスロットなどが装備されています。さらに本体裏側には表面のLEDボタンに連動するLEDを同じく16×16個備え、演奏に伴う白色LEDの発光に連動して裏面側も光るため、ライブパフォーマンスなどで聴覚だけでなく視覚面にも訴えることができます。
ハード面では、AWM音源の内蔵で253種もの音色を搭載しているうえ、SDメモリーカードを使ってサンプリングしたオリジナルの音を追加することもできます。またシーケンサー機能も内蔵しており、演奏データをSDメモリーカードに記録したり、他のMIDI楽器と連動した演奏も可能です。
『TENORI-ON』のLEDボタンは、基本的に垂直方向が音階、水平方向が時間(音階の演奏順)を表し、押した音のボタンが光り、長押しするとその音階が自動演奏されます(Scoreモード)。また音色や発音の長さ、演奏スピード、テンポ、音量等の調節はフレーム部のファンクションボタンで変更できます。
なお、『TENORI-ON』の演奏は、音楽的な知識が無くてもLEDボタンを押すことによって感覚的に行うことができますが、基本機能として6つの演奏モード(Scoreモード/Randomモード/Drawモード/Bounceモード/Pushモード/Soloモード)を備えており、それらを掛け合わせることでより奥深い演奏が楽しめます。
『TENORI-ON』のインターフェース
『TENORI-ON』は、2002年に岩井俊雄氏と共同開発を開始し、その間、試作品をさまざまな見本市に出品してきたほか、世界各国で音楽の先端を切り拓くDJやミュージシャンにテストを依頼するなど、徐々に反響を集めてきました。2007年9月からはイギリス国内限定でテストマーケティングを開始しており、既にDJ、ミュージシャンや先進的なユーザーの手によって、ライブやオンラインなどでさまざまなパフォーマンスが披露され、その様子は「YouTube」などのサイトでも確認することができます。
以上のような特長を持つ『TENORI-ON』は、電子楽器のテクノロジーと楽器本来のライブパフォーマンスを全く新しいコンセプトによって融合させた、ヤマハの最新型電子楽器です。
詳細は以下の通りです。
『TENORI-ON』の基本的なコンセプトは、メディアアーティスト岩井俊雄氏によるもので、2002年から当社と岩井氏による共同開発が始まりました。開発当初から16×16個のLEDボタンによる演奏を行うという基本コンセプトは変わらず、当初の3年間はユーザーターゲット、演奏スタイルの絞り込み、コンセプトに見合った製品仕様の追求などを行いました。
2004年には最初の試作品が完成し、世界のアートフェスティバル・音楽フェスティバルでの展示、内外のミュージシャンによるロードテストなどを行い、製品化へ細部の詰めを行って楽器としての完成度を高め、2007年に最終的な仕様が確定しました。正式発売以前の製品ながら、2005年にはグッドデザイン賞においてインタラクティブデザイン賞(経済産業大臣賞)を受賞し、また昨年には米国の「PC World」誌から2007年の「The 25 Most Innovative Products of the Year」に選出、英国・ロンドンのDesign Museumが主催する「Brit Insurance Design of the Year Awards」のProduct部門にノミネートされるなど、高い評価を得ています。
そして2007年9月にテストマーケティングとしてイギリス国内限定、それも限られたレコード店と製品公式ウェブサイトでの限定販売を開始し、好調な売れ行きを示しました。以後、イギリス国内ではアマチュアの音楽ファンやプロのDJ、ミュージシャンからの支持を得て、さまざまな演奏やパフォーマンスが披露されています。こうした演奏・パフォーマンスは動画サイト「YouTube」などで見ることができ、『TENORI-ON』の独創性の高さが、イギリス以外の世界各国の音楽ファンにも知られる原動力の一つとなりました。なお今年の4〜5月にかけてイギリス以外のEU諸国、北米(アメリカ・カナダ)でも販売を開始する予定です。
当社では、全く新しいコンセプトによる電子楽器『TENORI-ON』が、これまでの電子楽器ユーザーはもちろん、これまで楽器を持っていなかった音楽ファンや、直接音楽に関わっていなかったさまざまなパフォーマーなど、幅広い層に受け入れられることを期待しています。
●岩井俊雄氏からのメッセージ〜新しい時代の楽器を作りたい
楽器を鳴らすように、また絵を描くように、光と音を同時に気持ちよくあやつりたい。これは僕が長年取り組んできたテーマです。ヤマハと開発した『TENORI-ON』では、そのテーマをさらに追求して、光と音の美しさや演奏の気持ちよさはもちろん、近未来の楽器として、また音と光のインテリアとしての形や質感にこだわったデザインをしています。本来楽器には、ヴァイオリンならヴァイオリンの美しい形と音と演奏方法があり、それらのどれが欠けてもなりたたないものです。ところが電子楽器は、その形と音と操作性の必然的な関連性がなくなってしまっています。もう一度楽器の本質を見つめなおし、『TENORI-ON』を新デジタル時代にふさわしい楽器にしたい、と考えています。
岩井俊雄