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音遊人Every Day さまざまな音遊人たちが、音楽の遊び方をご提案

宮本文昭のNEXTAGE
~ウェルカム・クラシック~

#001

小澤征爾音楽塾 オペラ・プロジェクト

宮本文昭さん

「宮本文昭のNEXTAGE」は、音楽家・宮本文昭さんがPCM衛星デジタルラジオでホストパーソナリティを務める番組。昨春オーボエ奏者を引退した翌日、音楽家・宮本文昭が新たな活動の一歩を踏んだ場所です。
音楽、旅、教育、文化、社会について、縦横無尽に語る宮本さんの語り口は多くのファンを魅了中。「音遊人」読者の皆さんにも特別に「NEXTAGE」でのお話をご紹介しましょう。

宮本文昭さんprofile

OPEN

宮本文昭さん

PROFILE

東京に生まれ、18才でドイツにオーボエで留学してから、ケルン放送交響楽団などで首席オーボエ奏者を次々と歴任した。2007年3月末をもってオーボエ奏者としての40年の演奏活動にピリオドを打つことを決め話題を集めた。今後は新しいタイプの音楽家として、音楽プロデューサーとして、指揮者として、新たな一歩をふみ出す。東京音楽大学オーボエ専攻教授。

official website

http://miyamotofumiaki.com/

このページに掲載されている情報は、2008年6月現在のものです。

「カラヤンの言葉を実践する音楽塾」

今回は僕も講師としてお手伝いさせていただいている「小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクト」についてお話ししたいと思います。

この音楽塾は小澤さんがオペラを通じて若手音楽家を育成することを目的に2000年に開始したものです。小澤さんの恩師であるカラヤンの言葉、「交響曲とオペラは音楽という車の両輪のようなもの」というのを小澤さんも持論として、その実践のために音楽塾を年に一度開催しているわけです。

 

小澤さんから最初にこの音楽塾のお話を伺った時、僕は「一体どんなことになるのだろう」「そんなことって実現するのか」と、正直思いました。あちこちの学校に属している学生をはじめ、海外に留学している学生も呼び戻してオペラをやると言うわけです。交響曲ですとリハーサルをし、ゲネプロをやって本番、で済むことですが、オペラというのは物凄く煩雑なことがたくさんあります。諸々の舞台装置、照明、衣装、海外のオペラがほとんどですから対訳も必要、舞台の進行すべてを把握して無線で指示をする進行係、指揮者以外に会場での聴こえ方などを指摘する人、小澤さんの懐刀となるアドヴァイザーも必要です。

 

そんな大勢の方々がたくさんのことを同時進行させていかなくてはならない。曲を演奏するのは学生達ですが、オペラを上演するには、こんなにたくさんの方々の力が必要なんです。合唱のトレーニングをする人も必要だし、もちろん演出家も大切です。オペラ全体を纏め上げていくのには音楽をやるだけではすまない。そう簡単にはできません。

 

ところが、小澤さんが言うには、「宮本君ね、ちゃんとしたスポンサーがいて、もし僕が病気になった時のために、保険もかけてあるんだよ。代役の指揮者が来て振ってくれることにもなっている」。「だから、力を貸してくれないか」。もちろん「喜んでやります」と答えました。

「やっぱりオペラは大変」

音楽塾は、モーツァルトのオペラ《フィガロの結婚》でスタートしました。学生たちにとって、モーツァルトから入ることは、音楽のイロハがわかりやすいのでいいんですね。
それでもやはり大変だと思いました。学生はオーディションで集めたのですが、彼らはソロを巧く演奏できても、アンサンブルを上手に作ってオーケストラの中で巧く演奏できるとは限らない。他の人達と一緒に演奏することが難しいんです。何故かというと学校でオーケストラを作ることはありますが、カリキュラムが決まっているので、出来に満足してもしなくても、どんどん先に進んでしまい、深く練習できない。高度な質を生み出せないまま進んでしまうわけです。

 

もうひとつの困難は歌手。歌手は海外から集めます。それも世界の次代のトップクラスを、世界各地で小澤さんをはじめ複数の方々がオーディションを開いて呼んでくる。こうして結構有名な歌手が集まってくるわけですが、それと同時にカバー歌手も集めます。急に声が出なくなるなどのアクシデントに備えて、予備軍も同時進行で練習するんです。カバーの人達は日本で集めますが、小澤さんはこのカバーの人達にも練習をつけるという具合に、もう大変です。こんなに煩雑なのがオペラであり、この音楽塾なんです。

「プロセスを見る楽しみ」

さて実際の練習ですが、小澤さんは最初のうちは学生たちが萎縮しないようにオペラ的なことは要求せず、自由に交響曲と同じくらいに力一杯演奏させる。それが終わると歌手をオーケストラの後ろに立たせて練習させ、「歌が自分たちの耳に聴こえ、丁度良いと思うところまでバランスを修整してごらん」と、自主的に音量を減らすことをさせます。こうして日本では演奏する機会の少ないオペラを経験させていくわけです。


音楽塾という上質な場所、超一流の指揮者である小澤さんの下で、オペラを勉強できるのは本当に有意義なことです。ここで人の伴奏をし、サポートし、歌手を輝かせて作品を完成させていくという作業を、学生たちは理解し、実地で学んでいくわけです。カバーキャストである声楽を学ぶ学生たちにとっても、一流の歌手の歌を聴けて、演技まで学べるのですから、本当に勉強になります。


このようにして、これから音楽家を目指す学生たちが、これからも音楽塾でオペラに触れ、触発され、自分たちの演奏に影響を受けてくれればなと思います。そして、僕たち講師にとっては、学生さんたちがどんどん巧くなるプロセスを見ていくのがとても楽しい音楽塾でもありますね。

NEXTAGE SELECTION

『チェチーリア・バルトリの芸術』『チェチーリア・バルトリの芸術』
ユニバーサル クラシックス &ジャズ UCCD-1072
歌劇「フィガロの結婚」「恋とはどんなものだか」
チェチーリア・バルトリ(Ms)
クラウディオ・アバド指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 


 

『プーランク:喜歌劇《ティレジアスの乳房》・世俗カンタータ「仮面舞踏会」』

『プーランク:喜歌劇《ティレジアスの乳房》・世俗カンタータ「仮面舞踏会」』
ユニバーサル クラシックス&ジャズ
PHCP-11028より
プーランク/世俗カンタータ「仮面舞踏会」
小澤征爾指揮 サイトウ・キネン・オーケストラ
*製造中止商品です。

 


 

『クラリネット吹きのオペラ』

『クラリネット吹きのオペラ』Victor VICC-60446
歌劇「セビーリャの理髪師」よりロジーナのカヴァティーナ「今の歌声は心に響く」
アレッサンドロ・カルボナーレ(Cl)アンドレア・ディンド(P)

 ミュージックバード・6月のザ・クラシック

「ウィーンフィルがミュージックバードにやってくる!」詳しくはこちらへ。

 

 


 

MUSIC BIRD ミュージックバードとは?

PCM衛星デジタルラジオ「MUSIC BIRD」は、音質にこだわる音楽ファンやオーディオファンのための本格的な音楽専門チャンネルです。詳しくはこちらへ。 

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