日常の喧騒を離れ、殿様が城の中で疲れを癒すように、最高のお料理と心なごむ空間でゆったりとお寛ぎいただきたい。そんな想いから、葛城北の丸は1978年にその2年前にオープンした葛城ゴルフ倶楽部の北に隣接する地に築かれました。「葛城」という名は昔この地が葛の産地であり、古墳時代に砦が築かれていたことからつけられました。北の丸が思い描いたのは、城と言っても華美な天守閣や壮大な石垣ではなく、優雅な庭園とともに平地に建つ格調高い「平城」。歴史ある城下町掛川の武家屋敷を模した長屋門や、地元森町の味わいある遠州瓦を載せた屋根など、地元遠州の建築をもいかした美が見事に表現され、城郭建築にふさわしい和の風格が随所に宿っています。古き良き日本の趣きが非日常へと誘い、安らぎの時間がゆっくりと流れはじめます。
心から皆さまにお寛ぎいただくには、本物を使った温かみのある空間でなくてはならない。北の丸は北陸の豪雪地方の古民家を移築した本物の木造建築を目指しました。色味、香り、質感。百数十年の時を経て息づく木々の表情には、何ものにも変えられない優しい味わいがあり、重い雪から家を守ってきた太く頑丈な柱や梁が、訪れる度に「帰ってきた」と思えるような和の空間を演出します。温かみあふれる古民家を単なる移築で終わらすことなく、回廊を通じて各棟を結ぶことで、落ち着いた佇まいでありながらも、格調高い屋敷の風貌を創出しています。
多くの皆さまに寛ぎの城として愛されてきた北の丸。30余年の歴史の中でさまざまな出会いと物語が生まれてきました。ゴルフプレーヤーはもとより2002年には、サッカーワールドカップ日本代表のトルシエ監督がここを「サムライたちが心身を休める場所」と位置づけ、合宿所に選出されました。北の丸は建物のみならず四季を彩る庭の花木や遠州の旬を集めた食の数々を侍たちが英気を養っていただく大切な要素と捉え、細心の注意を払いご提供させていただいております。これからも北の丸は皆さまの安らぎの城として、ゆっくりと年輪を重ねるように、一日一日おもてなしの心を込めて歩んでまいります。
ただそこに佇むだけで、ゆったりとした時の流れと、穏やかな空気を漂わせる木という建材。北の丸では客室以外にも、手すり、床、天井と、至る所に良質の原木を宛がっています。棟内のどこにいても、訪れる者の心をふっと落ち着かせるのは、使い込むほどに味わいと輝きを増す「木の優しさ」のせいかもしれません。