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おんがく日めくり

09月 15日

オーストリアの作曲家、アントン・ウェーベルン没(1883〜1945)

「ピアニッシモ・エスプレッシーヴォ」の作曲家の魅力

 1945年のこの日の夕刻、ザルツブルク近郊ミッテルジルで、一発の銃声が響き渡りました。敗戦間もないこの時期、オーストリアに駐留していた米軍憲兵が、戸口で煙草に火を付けたある作曲家を、誤って撃ち殺してしまったのです。この時、悲劇的な死を遂げた作曲家こそ、アントン・ウェーベルンでした。

 ウェーベルンはベルクと共にシェーンベルクの愛弟子として、精力的に無調・十二音技法(※)による音楽を進めました。彼ら師弟3人は音楽面でも私生活でもとても強い絆に結ばれていましたが、それぞれに微妙な個性の違いがあります。ユダヤ系ゆえにナチ政権の成立と共にアメリカに亡命したシェーンベルクの音楽は、真剣でドラマティックですが、ベルクの場合は繊細・叙情的でロマン派の面影を色濃く残しており、1935年に亡くなるこの病弱な作曲家を象徴するかのようです。

 それらに対し、ナチ政権下で生き延び、ナチズムにある程度の共感も示したウェーベルンの音楽は、3人の中で最も理知的・抽象的なものでした。それは時として冷たいと見られることもありますが、極限にまで凝縮されたその音楽は、シェーンベルクによって「ほんの一つの身ぶりで一編の長編小説を」表現すると言い表わされ、最小限の弱音で最大限の表現を行うことから、「ピアニッシモ・エスプレッシーヴォ(非常に弱く、表情豊かに)」の作曲家とも呼ばれました。

 また、シェーンベルクが考えた「音色旋律」(音色の変化もメロディーの重要な要素だという考え)を発展させ、メロディの一音ごとに楽器の組み合わせを変える、独特の楽器法も生み出しました。

 このようにして生み出される彼の音楽は、暗い空間にぽつりぽつりと音が浮かぶような、極めてユニークなもので、一般受けするとは言えませんが、独特の味わいを持つ音響世界です。「6つの管弦楽小品」Op.6(1909)などの他、バッハの「音楽の捧げもの」の6声のリチェルカーレを編曲した管弦楽のための「リチェルカータ」もあり、ウェーベルン独自の点描音楽の魅力を味わうには最適です。

 メロディを音の高さだけでなく、リズムや強弱、音色の束縛から解き放ったウェーベルンの革命は、第2次大戦後、現代音楽研究の基礎となり、メシアンやクセナキスらの戦後現代音楽の傑作群を導くことになったのです。

※十二音技法:オクターヴ内の12の音を平等に扱い、音相互の音程関係を重視しつつ行う作曲技法。12の音を1個ずつ含む〈十二音音列〉を作り、その〈基本形〉〈転回形〉〈進行形〉〈逆行形の転回形〉をもとに曲を構成。シェーンベルクが提唱した。



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