ストーンズの音を特徴づける、キース独特のタイム感
ミック・ジャガーと並ぶ
ローリング・ストーンズの顔が、キース・リチャーズ。いや日本では、熱狂的なストーンズ・ファンの中には、キースこそストーンズであると主張してはばからない人が多いほどです。世の流れを嗅ぎ分けることに敏感で、多分に
ロックをビジネスとして捉えているような風もあるミックに対し、不良ロックン・ローラーを地で行くキース。彼の魅力は、そのままストーンズの魅力というわけですが、実はこの傾向は日本独特のもの?…というのはストーンズのライブの際、日本ではキースがリード・ボーカルを取る「ハッピー」などの曲でミック以上の声援が飛んで盛り上がりますが、欧米ツアーでは皆トイレ・タイムとばかり、客席はガラガラになってしまうそうです。89年の初来日の時、キースは日本のファンの温かさに大いに感激したとか。
さて63年のデビュー当時は、
ブルースや
R&Bを独自の解釈で演奏していたストーンズですが、転機となったのが65年に初の全米ナンバーワンとなった「サティスファクション」です。あの印象的な
リフはキースのアイディアですが、アルコールでもうろうとしているときに突然ひらめいたものだそうで、メモ代わりのテープにはリフが数回録音された後、ずっと彼のイビキが入っていたそう。以来、キースの譜面にはとても表せない独特のタイム感を持ったギター・
カッティングを武器に、「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」や「ホンキー・トンク・ウイメン」、「ブラウン・シュガー」といったヒットを連発し、ストーンズはトップ・バンドとして現在に至るまで活躍しているのです。
最後に、既成の価値観に反抗するだけか
ロックン・ロールではない、ということもキースは身を持って示しています。87年には、ロックン・ロールの王様、
チャック・ベリーのドキュメント映画『ヘイル・ヘイル・ロックン・ロール』の音楽プロデューサーを務め、映画の中でも自らベリーとともにステージに立ち、偉大な先輩に敬意を表したのです。ところで御大チャック・ベリーは、映画の中で(故
ジョン・レノンの息子)ジュリアン・レノンに向かって「親父に会ったらよろしくな、ガハハ!」と言い放つような冗談のキツい性格で、日頃のツアーでも特定のバック・バンドを持たずにミュージシャンはもっぱら現地調達するという、唯我独尊を絵に描いたようなヒト。そのベリーをなだめたりすかしたりしながらステージを作り上げていくキースの姿は、ストーンズでのキースとはまた違う感銘を多くのロック・ファンに与えました。根っからのバンド好きとしてのキース、そしてバンドをまとめる要(かなめ)としてのキースの偉大さに、改めて気づかされたのです。
ブラウン・シュガー 作曲:Mick Jagger,Keith Richard
2000 YAMAHA CORPORATION
- ※おんがく日めくりの更新は2002年10月をもって終了しました。
コンテンツは、アーカイブとして継続公開します。