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おんがく日めくり

05月 24日

フォークの神様、ボブ・ディラン誕生(1941〜)

レッテルを書き換え、ついには超えた男

 20世紀のポピュラー・ミュージック・シーンで最も影響力のあるアーティストのひとり、ボブ・ディラン。大学を中退した後、ニューヨークで活動していた彼は、プロデューサー、ジョー・ハモンドに見い出され、1961年に自身の名を冠したデビュー・アルバムを発表します。このアルバムはどちらかというと伝統的なフォーク・ソング主体のものでしたが、1963年に発表した『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』で、彼はこうしたフォーク・ソングに社会的、反体制的なメッセージを与え、「風に吹かれて」は反体制運動の聖歌となるのです。

 しかし自身に貼られた“プロテスト・フォークの旗手”というレッテルに満足することなく、新たな自己表現の方法を求めたディランは、1965年に問題作『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』を発表します。B面こそ代表作「ミスター・タンブリン・マン」を含むフォーク・ソングでしたが、A面は完全なロックだったため、それまでのファンからは裏切りものと呼ばれてしまいます。しかしこのアルバム、そして続くシングル「ライク・ア・ローリング・ストーン」は新たなファンを獲得し、彼にとって初のミリオン・セラーとなったのです。ディランのロックへの転身は、シーンにも大きな影響を与え、バーズ、、ママス&パパスサイモン&ガーファンクルといったフォーク・ロックのグループが台頭するきっかけともなりました。

 ディランは、66年7月のオートバイ事故で重傷を負い、1年半近い沈黙の時を過ごします。そして67年末のカムバック以降は、彼の特徴だったしわがれ声から一転してクリアーで甘い声を聴かせたり、カントリー・ミュージックをはじめとするより幅広いジャンルのミュージシャンたちに接近するなど、今度は再び貼られた“フォーク・ロック”のレッテルをはがそうとするかのような、多彩な活動を展開しました。

 その後も、一つの場所に止まることを知らないボブ・ディラン。85年にはUSAフォー・アフリカの「ウィ・アー・ザ・ワールド」で堂々“トリ”をつとめたり、92年のデビュー30周年コンサートでは、数多くのスーパースターがディラン・ナンバーを歌って祝福するなど、音楽界における強烈な影響力や存在感はいまだに健在です。ディラン自身が、「マイ・バック・ペイジズ」の中で「説教したとたん、僕は自分自身が敵になる」と自嘲と自戒を込めて歌ったように、すでにディランは、説教をしない、すなわちメッセージやレッテルを超えることで自由な境地に到達し、他のミュージシャン達は、そこにこそディランの偉大さを見ているのかも知れません。


風に吹かれて 作曲:Bob Dylan 1999 YAMAHA MUSIC MEDIA

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