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おんがく日めくり

05月 31日

作曲家、伊福部昭(いふくべ・あきら)誕生(1914〜2006)

一度聴いたら忘れられない、迫力ある「ゴジラのテーマ」

 恐ろしげな重低音による“ドシラ、ドシラ、ドシラシドシ……”のメロディでおなじみの、「ゴジラのテーマ」の作者として有名な伊福部昭。「ゴジラ」以外にも「ビルマの竪琴」「大魔神」など300作を越える映画音楽を手がけ、日本の映画音楽の礎を作ると同時に、数々の交響楽を作曲し、さらには東京音楽学校作曲課講師として芥川也寸志黛敏郎らを育てるなど、現在に至るまで日本の音楽界を支えてきた偉大な音楽家です。

 北海道に生まれ育った伊福部昭は、十勝の自然の中で毎日遊び回り、アイヌの人たちとも親しむ少年時代を過ごしました。「アイヌの歌や踊りから受けた感銘が、私の音楽体験の原風景となった」と語る伊福部ですが、学生時代にドビュッシーストラヴィンスキーサティラヴェルといった作曲家たちに衝撃を受け、独学で作曲を始めるようになります。そして1935年、厚岸(あっけし)の森林事務所で働いていた21歳のときに、交響楽『日本狂詩曲』が、フランスの第一線の音楽家たちが選ぶ日本の管弦楽作品のコンクールとして行われていた、チェレプニン賞を受賞します。これによって作曲家としての名声を確立した、と言いたいところですが、当時の日本の音楽界は西洋らしくあることを規範としており、アイヌなど日本独自の土着的な音楽を大胆に表現する伊福部のスタイルは理解の外。当時の評論家に「顔はストラヴィンスキーで、手はファリヤ、脚はコルサコフで、体はラヴェル、しかもそれがお会式の太鼓(※)を叩いて歩くと思へばいい」と評され、『日本狂詩曲』は世界的に絶賛されたのにもかかわらず、日本国内で初演されるまでに45年もの歳月を要するほど、異端扱いをされていたのでした。

 そんなわけで、戦後、楽壇の中央とは距離を置きながら、伊福部は生活のために映画音楽も手がけるようになります。そして伊福部の名を、クラシックや現代音楽の愛好家だけでなく、世界中の人々に知らしめたのが、54年の映画「ゴジラ」の音楽。反復するリズムと重厚なオーケストレーションによる迫力で、一度聴いたら忘れられない迫力を持っています。76年には東京音楽大学の学長に就任するなど、音楽家として名を成した伊福部ですが、「高度成長期への入り口の時代。人間が作った科学技術を否定するゴジラの姿に、ある種の共感を覚えた」と語るように、形式的で権威主義な楽壇を否定し、独自の道を貫いた彼とゴジラには、確かに重なるものがあります。87歳になる現在も現役の作曲家として新作を発表しつづけるエネルギーは驚くばかりで、その活力もゴジラ級と言えるかもしれませんね。

※お会式の太鼓:お会式(えしき)とは、法会の儀式。特に日蓮宗で宗祖の忌日(10月13日)の前日に営む法会。儀式の際にはお寺中の太鼓が盛大に打ち鳴らされる。



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