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おんがく日めくり

08月 16日

ジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンス誕生(1929〜1980)

白熱のインタープレイは、うるさい客席への立腹から?

 歴代最高のジャズ・ピアニストの一人と言われるビル・エヴァンス。6歳でピアノを始めると、すぐ耳にしたメロディをダンス音楽風やビッグバンド風に即興演奏してみせるまでになりました。兵役後の1954年、25歳でフリーのピアニストとして活動を始め、56年に録音した初リーダー作の『ニュー・ジャズ・コンセプション』が繊細なタッチと叙情性で専門家から高く評価されます。そして58年にはマイルス・デイヴィスクインテットに参加。名盤『カインド・オブ・ブルー』に大きく貢献した彼は、59年に自らのピアノ・トリオを結成。ベースに夭折した天才スコット・ラファロ、ドラムにポール・モチアンというメンバーで『ポートレイト・イン・ジャズ』、『エクスプロレイションズ』、そして『ワルツ・フォー・デビイ』(ちなみに“デビイ”とはビルの兄の娘さんのこと)といった傑作を次々に生み出します。ジャズ・ピアノといえばファンキーといったイメージが主流だった当時、彼の内省的で繊細なタッチによる、リリカルで美しいガラス細工のような音楽はまさに革命的で、ジャズというよりクラシック・ピアノのノクターンのような趣がありました。また、ジャズのだいご味であるアドリブでも、ラファロとからみあいながらどこまでも上昇していくような、静かな熱気に溢れたインタープレイでファンを魅了したのです。返す返すも、ラファロが61年に交通事故で亡くなったことが悔やまれる、まさに夢のトリオでした。

 さて、天才ジャズマンにはいろいろな奇行のエピソードが多いのですが、エヴァンスの場合は、細部まで計算しつくされたハーモニーやアルバムのジャケットの髪をキチンと横分けにした写真からも伺えるように、あまり感情を表に出さないマジメな男だったようです。しかしユーモアのセンスがないわけではなく、アルバムの宣伝にマイルスやキャノンボール・アダレイの推賞の言葉が踊ったときに、「僕のオフクロからも一言もらえばよかったのに。」と、(ただしニコリともせずに)言ったそうです。そんな彼でも我慢がならなかったのが、日本でも人気の高い名盤『ワルツ・フォー・デビイ』で、彼は終生このアルバムが嫌いだったとか。理由は、実況録音されたニューヨークのヴィレッジ・バンガードの客が、彼らの演奏を熱心に聴かなかったからだといいます。確かにこのアルバム、グラスの触れあう音や話し声、キャッシャーを打つ音などが、はっきり聴き取れます。ジャズ史上に残る白熱のインタープレイの理由は、案外そんな怒りにあったのかもしれませんね。


ワルツ・フォー・デビイ 作曲:Bill Evans,Gene Lees 2000 YAMAHA CORPORATION

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