楽器探訪 ANOTHER TAKE
Handmade Flutes
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TAKE3 新しい音楽表現を生み出す「理想」のフルート
フルートはズラリと並んだキイが特徴的ですが、「イデアル」の外観で変わったもののひとつが、このキイの腕の太さ。ひとつひとつのキイの腕の幅を広げることで、がっちりとした印象をアピールしています。
「以前は、女性的できゃしゃな感じの幅の細い腕を採用していました。ですがイデアルには、これまでのヤマハのフルートにはないダイナミックな力強さがあるため、それを見た目でも表現したいと思いました」(福家さん)
キイやキイポストなど、多くのパーツから成るフルート。確かに、設計する開発者の苦労がしのばれます……。
頭部管の下、主管のジョイント部分にはイデアルの手彫り彫刻が! これはジュエリーに彫刻する職人さんの手によるものだとか。スペシャル感がありますね!!
なおキイの腕を太くすることは、調整を狂いにくくするという利点を生むのだとか。これは、奏者にとって嬉しいポイントですよね。
さらにアドリアン氏がこだわったのは、「シンプル&スマート」な外観。キイの並びや間隔の統制など、かなり細かい部分まで指示があったそう。
「キイの並びを揃えたり、キイを支えるサポートをほかの部品と一体化させたりしてすっきりさせました。ただ、フルートはキイやキイポスト(鍵柱)が密集しているので、設計はより複雑になって大変でした」(田中さん)
また見た目といえば、管体の色も忘れてはなりません。金製モデルに使用した14金*は、銅の配合率を高くして赤みを増したピンクゴールド。ピンクゴールドは舞台の上で華やかに映える色であり、銅の量が増えることで音色にはあたたかみが生まれるといいます。
一方銀製のほうは、黒色化を防ぐメッキを施さない仕上げに。メッキがないことで手入れの手間はかかりますが、抜けのいいクリアな音を実現しています。
外観の美しさにこだわりつつも、やはり音色のよさは外せないものなんですね。
音の厚みや質感など、単音で繊細な表現ができるフルートは、音色に多彩なバリエーションをつけられるのが魅力。でも一番大切なのは、音が紡ぎ出す音楽がどういうものかです。
「アドリアンさんの演奏を聴いていると、テクニックの素晴らしさは言うまでもなく、表現力の幅のすごさに驚かされます。イデアルが奏者の音楽表現の可能性をさらに広げ、大勢の人に楽曲の新しい世界を見せることができたら嬉しいです」(田中さん)
「イデアル」によって、楽曲の新しい一面に出合えたら素敵ですね。
*14金は金・銀・銅を配合した三元合金か、それに亜鉛をプラスした四元合金。
日本大学芸術学部放送学科卒。女性誌の編集部などを経て、2005年よりフリーの編集・ライターとして活動。5歳からピアノを習い一時は音大を目指すも、80年代ポップ&ロックの波にのまれ人生が狂う(?)。取材のリサーチでフルート経験者数名(女性)に話を聞いたところ、みなさんお美しい人ばかり。フルートを吹くと綺麗になるのか、それとも綺麗だからフルートを吹くのか……。
Photos by Ikko Murakami