【その6】
やっとできた試作品に火を入れる(電源を入れる)ときが来た。コンテンツはEZ-EGと同じまま、調整も何もしない状態で恐る恐る6弦を弾いてみた。
「ボォーン」おぉ、なんという豊かな響きだ。ボディーの振動が身体に伝わってくる。これだよこの感じ。音だけじゃなく、振動が身体に伝わることで、楽器を弾く実感が込み上がる。
そういえば自分がギターを始めた中学生の頃も同じ感覚を覚えた記憶がある。身体のわりに大きなギターを抱え込み、サイモン&ガーファンクルの楽譜を前にボローンと弾いたときに伝わる振動は、楽器を弾いているという実感と共に、何か一つ大人になったような、そんな気分にさせた。
あれから数十年、いろんな楽器を作ってきたが、こんな気持ちを思い出させてくれたのはこのEZ-AGが初めてだ。身体と楽器が密着している感覚、指先だけでなく身体全体で楽器を弾く感覚はギターならではのものだろう。
人間の感覚の中で、よく嗅覚は記憶を蘇らせるというが、音と振動も同じように記憶を蘇らせる役割があるんじゃないだろうか。そんなことを考えながら、試作品を弾き続けた。
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