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ホーム > 学校教育関係者向け > MUSIC PAL > いろいろな楽器を知ろう > トランペット : トランペットの名曲
バルブ・トランペット発明以前のトランペットは、メロディー楽器としては極めて不完全な楽器でした。しかしバロックや古典主義時代にもトランペットをソロ楽器とした名曲がいくつか作曲されています。ここではバッハとハイドンの協奏曲を紹介しましょう。
J.S.バッハ:「ブランデンブルク協奏曲第2番へ長調」BWV.1047
ブランデンブルク辺境伯に献呈された6つの協奏曲の2曲目。トランペット、リコーダー、オーボエ、ヴァイオリンの4つの高音楽器がソロを担う華やかな曲です。唇と呼吸でしか音程を調節することができないナチュラル・トランペットでは、高音域でしか旋律らしい旋律を吹くことができませんでした。そのため当時のトランペット奏者には、クラリーノ奏法と呼ばれる高音域での超絶技巧的な名人芸が求められました。この曲でも両端楽章のトランペットソロで、現代楽器では味わえない、バロック・トランペット特有の輝かしい響きを堪能することができます。
ヨーゼフ・ハイドン(1732~1809)
J.ハイドン:「トランペット協奏曲変ホ長調」Hob.VIIe-1
じつはこの曲はナチュラル・トランペットのために書かれた曲ではありません。ハイドンの時代にはバロック時代の名人芸的奏法は衰退し、トランペット協奏曲の創作自体が減ってしまいました。そんなときに現れたのがウィーンの宮廷奏者でヨーロッパ中に名声を確立したアントン・ヴァイディンガーでした。彼は半音階の吹奏が可能な有鍵のトランペットを開発し、当時の優れた作曲家ハイドンやフンメルに協奏曲の作曲を依頼しました。ハイドンのこの曲は有鍵トランペットの特性を活かして半音階のフレーズや、自由な転調を駆使して書かれています。同じくヴァイディンガーの依頼で書かれたフンメルの協奏曲とともに古典派を代表するトランペット協奏曲です。
前項で紹介した協奏曲から時代は一気に100年以上も飛んで、20世紀に作曲された2曲のコンチェルトを紹介します。バルブ・トランペットが発明されて、トランペットの表現力は飛躍的に向上します。その結果オーケストラの中でもメロディー楽器として重要な役割を担うようになります。しかし反面19世紀のロマン派の作曲家はソロ楽器としてトランペットの曲を書くことはほとんどありませんでした。ソロ楽器としてのトランペットに注目したのは20世紀の作曲家達でした。
アンドレ・ジョリヴェ(1905~1974)
ジョリヴェ:「トランペット協奏曲」
フランスの作曲家アンドレ・ジョリヴェは2曲のトランペット協奏曲を残しています。第1番は「トランペット、弦楽とピアノのコンチェルティーノ」と改題されたもので、パリ音楽院のコンクール用に作曲されました。当初はトランペットとピアノのための曲でしたが、後に弦楽パートが付け加えられました。ピアノと弦楽器の金属的な響きにトランペットが呼応していく曲想は、初演当時は相当スキャンダルだったようです。
第2番はジャズの語法を使いながら、ジョリヴェが探求し続けた呪術性や原初的なエネルギーが満ち溢れた作品で3楽章からなっています。バックのオーケストレーションはかなり変則的で、管楽器と打楽器主体のアンサンブルになっています。
トマジ:「トランペット協奏曲」
アンリ・トマジはマルセイユ生まれのコルシカ系の作曲で、舞台作品の作曲家として名声を確立し、管楽器の名曲を数多く残しました。この曲はジョリヴェ作品とともに20世紀のトランペット協奏曲を代表する名曲として多くのトランペット奏者がとりあげる曲です。
曲は3つの楽章からなり、映画音楽を思わせる曲想とオーケストレーションがトランペットのソロを引き立たせています。
独奏用のトランペットの曲はそれほど数は多くありません。したがってトランペット奏者はヴァイオリンやピアノのための曲を編曲して演奏することがしばしばです。しかしトランペットのために書かれた曲は、トランペットという楽器の魅力が十分に活かされているために、編曲にはない魅力を放っています。
アンダーソン:「トランペット吹きの子守歌」
ルロイ・アンダーソンはアーサー・フィードラー指揮のボストン・ポップス付きの作曲家として、軽音楽風の親しみやすい曲を数多く作曲しました。
これほどトランペット奏者に親しまれている曲はないといっていいほど有名な曲です。ファンファーレの音型が子守歌に使われることは意外ですが、これが不思議なほどマッチしています。アンダーソンには他に3本の独奏トランペットのための「トランペット吹きの休日」がありますが、これもファンファーレの音型を使った軽快で親しみやすい名曲です。
パウル・ヒンデミット(1895~1963)
ヒンデミット:「トランペット・ソナタ変ロ長調」
20世紀ドイツを代表する作曲家の一人ヒンデミットは、オーケストラのほとんどの楽器のためのソナタを残しました。管楽器のためのソナタも例外ではなく、ピッコロを除くすべての管楽器のソナタが存在します。
このトランペット・ソナタは変ロ長調で書かれており、トランペットの性能がフルに発揮できるように作曲されています。曲は勇壮な曲想で開始し、最後は葬送行進曲(「人はすべて死すべきものなり」のコラールが引用されます)で幕を閉じるというドラマチックな構成になっています。