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ファゴットの名曲

室内楽編

ファゴット独奏のために書かれた室内楽が本格的に作曲されるようになったのは、18世紀前半になってからでした。しかし、その時代の作品で現在でも頻繁に演奏されるものはほとんどありませんので、ここでは古典派以降の作品を挙げておきましょう。

19世紀前半に作られたフランス製のバソノーレ

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト

W.A.モーツァルト:「ファゴットとチェロのためのソナタ変ロ長調K292」
この作品は、「ファゴットとチェロのためのソナタ」として知られていますが、チェロのパートはおそらく通奏低音のパートであり、通奏低音の伴奏を伴ったファゴットの独奏ソナタではないか、という推測も成り立ちます。モーツァルトらしく、美しい旋律が高音域に現れ、古典派時代に「愛の楽器」と評されたファゴットの魅力が堪能できる作品となっています。モーツァルトは、このソナタをファゴットを愛好した友人のデュルニッツ男爵のために書いたと言われています。

C.サン=サーンス:「ファゴットとピアノのためのソナタop.168」
サン=サーンスは86歳で亡くなる年、1921年にオーボエ、クラリネット、ファゴットをそれぞれピアノと組み合わせたソナタを連作しています。「ファゴットとピアノのためのソナタ」はト長調で書かれており、作曲年代からすればかなり保守的な印象を与えます。しかし、洒脱な旋律と洗練された和声のなかでピアノとファゴットの対話が繰り広げられ、円熟の境地を切り開いていた最晩年の作風がよく表れています。

協奏曲編

W.A.モーツァルト:「ファゴット協奏曲変ロ長調K191」
言うまでもなく、時代を問わず、最も有名なファゴット協奏曲です。作曲者が18歳の時、1774年に作曲されました。高音域でのカンタービレと華やかなパッセージ、低音域の効果的な用法など、18世紀のファゴットの特徴をいかんなく発揮した名曲です。古典派の時代には数多くのファゴット協奏曲が書かれましたが、この作品ほど優れたものは存在しません。

19世紀前半に作られたフランス製のバソノーレ

カール・マリア・フォン・ウェーバー

C.M.v.ウェーバー:「ファゴット協奏曲ヘ長調」
この作品は1811年に、ミュンヘン宮廷楽団のファゴット奏者、ブラントのために作曲されました。やはり、カンタービレと名人芸を遺憾なく発揮させる名作です。オペラ作曲家らしく、第2楽章ではまるでオペラのレチタティーヴォのような部分があることも特徴的です。ウェーバーはもう一つの協奏曲を構想しましたが、第1楽章に着手する前に作曲を止め、2つの楽章をまとめた「アンダンテとハンガリー風ロンド」を1813年に発表しています。



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