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吉良 ─ ヤマハが作ってきた楽器は、非常に長い歴史の中で時代の変化に沿って変わってきました。デジタル技術を手に入れ、新しい時代に合わせた新しい機能も生まれるにつれ、デザインも時代に合わせた考え方をしなければならないと思うのです。そのひとつの例として、サイレントバイオリンやサイレントチェロなどを生み出して来ましたが、川上さんはこういったサイレント楽器群へどういった印象をお持ちですか。 川上 ─ サイレントバイオリンは、デジタルの真骨頂ですよね。技術によって形そのものを変えていくという。しかし実際に人が抱える形、そういったエキスを残しながらもデジタル化したというのが、はっきり見て取れるデザイン。それが非常に印象深いです。サイレントシリーズは、音を出さずに練習するといったファクターから生まれたのでしょうが、それがさらに違う方向へと展開していきつつある、予兆のようなものを感じます。 吉良 ─ 川上さんは家具やインテリアなど、生活に密着した部分でいろいろな仕事を幅広くやっていらっしゃいますが、その中で見通せる今後の動きや、やっていきたいことなどはありますか。 |
川上 ─ デザインには2つ方向性があります。1つはコストパフォーマンス重視。より安く、より多くの人に満足していただくという方向です。もうひとつは、熱狂的なファンへ向けたもの。歴史をひもとくと、車やカメラなど、コストパフォーマンスを重視した結果から生まれたデザインというものは存在しないと思うのです。熱狂的なファンや使い手が文化を育てたのではないでしょうか。マーケティングのニーズではなく、ひとりひとりの気持ちを大切にするというか。 これまでのモノ作りは技術先導でしたが、これからはデザイン先導でしょうね。技術は集積がききますから、東南アジアも含めて、あるレベルまではすぐに到達できます。その先に必要なのはデザイン力。何をモノに表現していくかといった豊かさ、美しさの表現を盛り込んでいくことが、日本のデザインには必要だと思います。 |
