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オーディオ用とホール用のスピーカは、各々の用途に合わせて開発されていますので互換性はありません。従ってこの意味では異なるものだと言えます。 ホールでは広い会場を所定の音量で均一にサービスすること、さらに酷使に耐え安定して使用できることを前提に高音質を追求したスピーカが設置されています。このため、高耐入力であること、能率が良いこと(高音圧がだせること)、指向性コントロールができること、再生周波数帯域で大きなピークディップが無いこと、解像度 が高く音像が前面に出てくること、頑丈で壊れないこと、サービス・メンテナンス体制が充実していること、などの条件が重要となります。 具体的には、高耐入力を確保するため、ボイスコイルの口径を大きくし放熱を良くする工夫がされ、能率向上のためにコーン紙に代わる、より小型・軽量な薄金属板を振動板としてマグネット部分と一体化した“ドライバー”を採用しています。また、ラッパ状のホーンを組み合わせたホーン型スピーカとすることで指向性をコントロールしています。ホーンの形状には数種類あり、いずれも指向性改善のために考案されたものです。因みに、入力電力に対する輻射エネルギーの変換効率は、コーンスピーカが数%(1%~6%)であるのに対し、ホーンスピーカでは50%近くに及ぶものもあります。しかし、オーディオスピーカに比べ歪みの点では改善の余地があると思われます。 また、一般的なホール劇場スピーカは、周波数をいくつかの帯域に分けたマルチウェイシステムが採用されています。この方式のメリットは、それぞれのユニットが狭い範囲の帯域だけを忠実に再現すれば、全体として高い再現性を持つシステムが組めることであり、ホール・劇場では、各ユニットのレベルを制御することで音場に合わせた調整が可能となるメリットもあります。音質や解像度・音像などの聴感評価に関わるアイテムは、各メーカーともそれぞれの特長を持っていますので、スピーカ選定の重要な要素になります。
(オーディオスピーカの一例)
ホールで催し物を行う時、客席に所定の音量で均一にサービスするためには、たくさんのスピーカが必要となります。そこで代表的なスピーカとその役割を以下にまとめてみましょう。
【客席側にあるスピーカ】
1.プロセニアムスピーカ……拡声の主力となるスピーカで、プロセニアムアーチの上部に設置されます。他のスピーカ位置に比べ客席ごとの距離差が最も少なく、客席内の均一な音場を得るのに重要な役割を果たします。
2.プロセニアムサイドスピーカ……音楽物の催事などには重要な役割を果たすスピーカで、プロセニアムアーチ両サイドに設置されます。舞台側に最も近いスピーカで、音像を舞台側に設定できるスピーカです。大型スピーカの設置が可能な場所であり、低音域の音量を確保するなど、全体の音質を決定づける重要なスピーカです。
3.ウォールスピーカ、シーリングスピーカ……客席の側壁・後壁に埋め込み型として設置されるウォールスピーカは、演劇やミュージカルの効果音再生用のスピーカで、自動車や馬車が移動しているように聞かせる、いわゆる音像移動に使用することもあります。天井に配置されるシーリングスピーカも同様に演劇の効果用で、雷鳴・戦闘機などショッキングな音をだすことが多く、客席全体をカバーするスピーカです。
4.その他のスピーカ……また、音が届きにくいところへの補助スピーカとして、フロントスピーカ、バルコニー下補助スピーカなどがあります。フロントスピーカは、プロセニアムスピーカやサイドスピーカではカバーできない客席最前部の補助として舞台前部に設置されています。バルコニー下補助スピーカも同様に、プロセニアムスピーカからの音がバルコニーで遮られている場合の補助用として設置されています。
音響調整卓は、ミキシングコンソール、ミキサーなどと呼ばれ音響設備のコントロールセンターとなるものです。ミキサーはあらゆる入力(マイクや周辺機器からの出力)を受け、これを所要のレベルまで増幅し、ミキシング回路によって信号をバランス良くミックスし、プログラム回路を経て卓出力として、スピーカ駆動用のパワーアンプ系統や録音系統、技術者・楽屋系統などへと分配するものです。各入力回路には、音質調整のイコライザーや左右のバランスを決めるパンポット、各系統へ出力するボリューム、インプットモニタースイッチ等が備えられ、オペレータはこれらを操作して“音創り”作業をしているのです。 最近のホール催事ではマイクロフォンの使用本数が増加する傾向にあります。このため、小規模のホールでもミキサーの入力回路は24回路以上、出力回路は16回路以上のものが標準的になっています。なお、ミキサーは音楽制作などに用いられるレコーディング用のものと、コンサートなどイベントで使用するSR(サウンド・リインフォースメント)用のものに大別されます。また、電気回路的には大きく分けてアナログとデジタルのふたつの方式があり、従来のミキサーはアナログ方式が主流でしたが、近年のデジタル技術の進展によりデジタルミキサーの開発・普及が急速に進み、レコーディング用ミキサーだけではなく音響設備用(SR用を主目的)のフルデジタルミキサーも数多く採用されてきています。
ホールでは、そこで演奏される音楽などが関係のない騒音で妨げられないよう、高度な静けさが求められます。
ホールでの演奏などを妨げる騒音には、幾つもの種類があります。ホールを建設する場合は、それぞれの騒音がどのような特性をもっているかを評価し、それぞれに適切な対策を施すことによって必要な静けさを実現しています。
ここでは、代表的な騒音源とその対策について説明します。
(1)外部騒音:
建物の外には自動車や航空機など、様々な騒音源が存在しています。その騒音の程度に合せて、外壁を二重にしたり、窓に非常に厚い二重ガラスを使用したり、また、外部とホールをつなぐ排煙口に音を吸収する消音装置をつけるなど、様々な
対策を行います。
(2)空調設備騒音:
空調設備は機器の騒音がダクトを介しててホールに伝わったり、空気の流れによって風切り音が発生することなどにより騒音源となります。また、機械の振動がホールに伝わり、音に変わって発生する騒音(固体音)もあります。
これらに対して、音の発生の小さな機械を使用したり、ダクトに消音装置を設けたり、機械にゴムを挟み込むなどして(防振)、振動が建物に伝わらないようにするなどの対策を行います。
(3)他室からの騒音:
ホールに接する隣の部屋で、大きな音で演奏をするような場合も、そのホールにとっては騒音になります。外部騒音への対策と同じように、それぞれの部屋の使い方に合せて、壁の構造を決めたり、防音性の高い扉を使用するなどの対策を行っています。
また、ダクトを介して伝わる騒音にも注意を払っています。
(4)ホール内の騒音:
舞台を華やかに演出するスポットライトやその周辺機器なども、ホールの中では騒音となることがあります。スポットライト室をガラスで仕切ったり、音の出る機器を他の部屋に設置したり、またその他の様々な機器に対して注意を払っています。でも、携帯電話などはお客さんのマナーにお任せするしかないですね。
造れます。鉄道の近くにホールを建設する場合、鉄道騒音対策がポイントとなります。鉄道騒音には、通常の騒音、つまり、空気を伝わってくる空気伝搬音に加え、鉄道振動が地盤、建物などを伝わり、音として室内に放射される固体伝搬音があり、それぞれの対策が必要になります。空気伝搬音については、「騒音」、「遮音」の項目で説明しました。
固体伝搬音の対策では、(1)鉄道振動が地盤に伝わらないよう、鉄道側での防振、(2)地盤と建物の間、或いは、建物の途中にゴムや発泡材を挿入することで振動の伝搬を防ぐこと、(3)壁を厚くして壁の振動を抑えること、(4)ホールを浮構造にすること(Q&A浮構造参照)
など、大規模な対策が必要となることが多くあります。
したがって、設計や施工などにおいて高い技術が必要となります。
このような技術を使って、アクトシティ浜松、東京国際フォーラム、博多座など、線路に近接したホールが建設されました。
スピーカは必要です。 クラシックコンサートホールにおけるスピーカの主用途は、開場や休憩のアナウンス、レクチャーコンサートにおける解説等の拡声ですが、ホールによっては、講演会催事などに利用することも想定されます。 いずれも音声をいかに明瞭に聞き取り易くサービスさせるかが重要となります。 コンサートホールでは、残響が長いことや、天井が高くスピーカ設置場所と客席の距離が長くなってしまうこと、デザイン上大型スピーカの設置が困難なことなど明瞭度の確保に不利な点が多く、スピーカの配置方式や機種の選択には、十分な吟味が必要となります。
音響障害で代表的なものとしては、壁面からの有害な反射音によるフラッターエコーや、ロングパスエコー、さらには円形空間などでみられる音響集中などがあります。
ここでは、(1)フラッターエコーと(2)ロングパスエコー(3)音響集中について説明します。
| 四角い部屋 | 良い対策例 | 悪い対策例 |
| ■MP3形式(192KB) | ■MP3形式(192KB) |
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できます。建築音響では1/50~1/2程度の様々な模型が、音の予測に利用されています。私たちが最も良く利用する方法は、1/10サイズの全体模型実験です。これは、コンサートホールを1/10の大きさで作り、その中で音を出して完成後の音を予測する、というものです。小さな部屋の中で音を再生しますから、音そのものも、「超音波」を含む高い(波長の短い)音を使います。 高い音では空気が激しく振動するため、実物サイズでは問題とならない酸素と水蒸気のぶつかり合いによるエネルギーの損失が大きくなります。その影響を少なくするため、私たちは模型の中の空気のほとんどを窒素に入れ換えてしまう「窒素置換」と呼ばれる方法を使います。また、模型を作る際の材料も小さい世界で実際の世界と同じような振る舞いをする材料を選ばなければなりません。 こうして測定された音を、実物の音の高さに戻してやることで、完成後の音が予測できるのです。 ここで、実際に予測した音を聞くことができます。
音を吸収する材料は、1)多孔質型、2)共鳴器型、3)板振動型の3つに大きく分類されます。 1)多孔質型の材料はグラスウールやスポンジなど、空気の通る小さな孔をたくさんもつもので、音を伝える媒質である空気の動きを邪魔することで音を吸収します。このタイプは中音から高音をよく吸収しますが、そのままでは低音にはあまり効果的ではありません。 2)共鳴器型は壺や瓶のようなもので、特定の高さの音に共振することで音を吸収します。共振によって空気が激しく振動する時に音のエネルギーが失われることで、音が吸収されるのです。このタイプは吸収する音の高さが限定されるという特徴があります。 3)板振動型は薄くて軽い板を壁の前に少し離して張ることによって、ある高さの音(特に低音)に共振して板が振動し、音を吸収します。一般の内装材料であるボード系の材料はこのタイプの吸音材料となるため、低音域の響きが豊かなホールを造るには、ホールの壁や天井にがっちりした材料を使うことがポイントとなります。
設計図の情報から音を予測するには、模型実験による方法とコンピュータシュミレーションによる方法があります。これらの方法によってそのホールの響きが得られ、無響室で録音した響きのない音源にこの響きを加えることにより、完成したホールで演奏された音を聴くことができます。
ここではコンピュータシュミレーションについて説明しましょう。
コンピュータシュミレーションには、幾何音響、波動音響と呼ばれる2つの計算理論があります。
幾何音響は音を光のように直進する音線として扱うので、計算が簡単で計算時間も比較的短く、実用上有利であり広く利用されています。しかし、この方法は音の「波」としての性質を扱わないので回折などの影響が大きい低音域では誤差が大きくなってしまいます。波動音響は音の「波」としての性質を考えるので、どの高さの音でも精度の高い計算ができますが、計算が非常に複雑なため、大きな空間の計算をすることは困難です。実際の音響設計では、それぞれの特徴を生かしてうまく使うことが重要です。
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| ■SoundVQ 高音質(236KB) | ■SoundVQ 高音質(236KB) | ■SoundVQ 高音質(236KB) | ||
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| ■SoundVQ 高音質(236KB) |
人間が両耳で聞いたときの音を録音するために人間の上半身の形をした人形の耳にマイクロフォンを埋め込んだものをダミーヘッド(Dummy Head)といいます。
音源から人間の耳に音が入るまでには壁による反射などの影響を受け、さらに聴く人の頭による回折などの影響を受けたあと、左右それぞれの耳に音が入ります。人はこれらの左右の耳に入る音の違いから音の方向、距離などを判断しており、よりリアルに音を再生するためには、この左右の音の違いを厳密に再現する必要があります。
頭の大きさや形には個人差があるので、聴く人の耳にマイクロフォンを埋め込んで左右の耳で別々に録音した音を、右の耳の音は右の耳だけに、左の耳の音は左の耳だけに聞こえるようにヘッドフォンで再生すれば、その人にとっては非常にリアルな音を聴くことができます。これを標準的な頭の形で作成したものがダミーヘッドです。次のサンプル音を聞いてみてください。音が回っているように聞こえますか?(ヘッドホンでお聞き下さい)
| <左廻り> | <左廻り> |
| ■SoundVQ 高音質(132KB) | ■SoundVQ 高音質(136KB) |
| <右廻り> | <右廻り> |
| ■SoundVQ 高音質(60KB) | ■SoundVQ 高音質(68KB) |
お風呂で大きな声で「あっ!」とさけんでみましょう。出した「あっ!」はすぐに聴こえなくなるのではなく、しだいに小さくなって聴こえなくなるのがわかるでしょう? このように音を止めた後に部屋の中で音が残る様子を“残響”といいます。 ここで、“残響”の長さを量的に表したものを“残響時間”といいます。皆さんの身近で“残響時間”が長い場所は、お風呂やトンネルの中が代表的なものでしょう。反対に、“残響時間”が短い場所というと、コタツの中とか、押入れの中といったところでしょうか。 学問上は、最初の音のエネルギーが段々小さくなっていって、ちょうど百万分の一になるまでの時間を“残響時間”と呼ぶことにしています。
昔、といっても20年前、大阪に“ザ・シンフォニーホール”というコンサートホールができ、その計画から建設の過程をつづった三上泰生さんのお書きになられた“残響2秒”という本が一時ブームになったことがありました。このことからだけではないでしょうが、割とこの2秒という数値が一人歩きしている感があります。 実際は、そのホールの用途に応じて最適な残響時間は異なります。一般的には、クラシックコンサートの響きは長めで、電気音響を用いたポップスやジャズのコンサートでは、お客さんがスピーカから拡声された音を明瞭に聴くために、部屋の響きは短いほうがいいのです。 では、2秒はどこから出てきたのか。 これは、音響のよい著名コンサートホール(ウィーン・ムジークフェラインやベルリンフィルハーモニー、コンセルトヘボウ等)の満席時の残響時間がだいたい2秒当りにきていることが原因と思われます。なお、室容積によっても最適残響時間は異なります。
難しい質問ですね。 日本はちょっと前までは、日比谷公会堂に代表されるようなクラシックコンサートから講演会まで、同じ場所で何でも同じように対応できる、響きの短い“多目的ホール”が多く建てられていました。一方、海外、と言っても欧米ですが、石造りの教会やボールルームを始め、集会場というと天井の高い響きの長い空間がイメージされるため、日本は短い、欧米は長い、という印象でもあるのでしょうか? 最近は、専用コンサートホール、オペラハウス、もしくはそれらを主用途として造られたホール等、海外と日本でも大きな差は無くなってきています。