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音場支援(AFC)

AFC(Active Field Control):音場支援システム

AFC(Active Field Control)とは、最新の電気音響・信号処理技術を用いて、室内の響きや空間の拡がり・音量感などの建築音響の聴感印象を、自然に変化させることができるシステムです。室内の最適な響きの長さは、行われる演目によって異なります。例えばクラシック音楽には、楽音を豊かにする響きのある空間が適しており、演劇や講演会には、響きの少ない明瞭な空間が適しています。
AFCは、一つの空間において多様な演目を行いたいというお客様の要望に応えるため、約30年ほど前に音響設計のツールとして開発され、現在に至るまでさまざまな改良が加えられています。

AFCの基本コンセプト

マイクとスピーカーを配置して室内の響きを可変にするシステムには一般的に二つの方式があります。
一つは、音響的フィードバックを利用した室内音場制御方式で、マイクで集音した音をスピーカーから再生し、その再生音に部屋の響きが加わった音を再びマイクで集音する音響的ループを利用しながら室内の音響エネルギーを増強する手法です。もう一つは、たたみ込み信号処理による音場合成方式で、集音した音に様々な反射音データ(実測インパルス応答)を合成することで、任意の音場を再現する手法です。AFCはこれら二つの方式を兼ね備えたハイブリットシステムとなっており、元々の室の持つ自然な建築的響きを保ちながら室内の響きを様々に変化させることができます。

高品質、幅広い制御性

AFCでは、フィードバックループの中にFIR(Finite Impulse Response)フィルタを用いています。最新の信号処理技術により、高音質で広い制御範囲を得ることができます。音場に合わせた最適なFIRフィルタを用いることで、さまざまな空間印象を実現します。

ハウリングに対するシステムの安定性

音響的フィードバックを基本としたシステムで大きな効果を得るためには、多くのエネルギーをフィードバックさせる必要があります。しかし、フィードバックさせるエネルギーが大きいほど、「ハウリング」に対して不安定となります。AFCでは「ハウリング」に対するシステムの安定性を確保するため、EMR(Electronic Microphone Rotator)と呼ばれる空間平均化技術を使用しています。
EMRとは固定されたマイクとスピーカー間の伝達関数を時間的に変化させることで、フィードバックループの周波数特性を平坦化する手法です。