穂の国とよはし芸術劇場 PLAT

~生声を重視した音場・鉄道沿いにある劇場~

穂の国とよはし芸術劇場は、豊橋市の新しい芸術文化活動の拠点構築と駅前市街地の活性化を目的としたPFI事業として整備され、2013年4月30日にオープンしました。豊橋市には長い歴史をもつ演劇鑑賞団体等があり、市民の演劇への関心も高いことから、市の将来を見据えて舞台芸術の創造活動や上演に適した劇場が整備されました。
施設は778席の主ホール(演劇主体)と266席のアートスペース(演劇~音楽会~平土間イベントまで対応)、及び大小7室の創造活動室(各種練習~発表会まで対応)から構成されています。主ホールは本格的な舞台芸術の創造~上演の場として良好な演劇鑑賞空間を実現するため、舞台上の生音や台詞が隅々まではっきり伝わるように、明瞭度、音量、残響時間のバランスに着目した音場を構成しました。

主ホール

設計コンセプト

最後列まで舞台が観やすく直接音が届きやすいように、囲い型のバルコニー構成とともに十分な床勾配を確保しています。客席奥行き寸法を24m以下に抑え、親密感のあるコンパクトな客席構成としました。また、音量感を確保しつつ、舞台上の生音の定位感を損なわないよう、壁・天井形状を工夫し、隅々まで台詞が伝わりやすい音場を実現しました。施設の近傍を鉄道が通っていることから、浮構造等の遮音・騒音対策を行っています。

音響シミュレーション:初期反射音の到来と拡散の効果

初期反射音の到来状況を波動音響シミュレーションによって解析しました。その結果、複数の凸曲面と浮雲が連続的に連なる天井面から客席全域に対して初期反射音が連続的に到来していることが分かります。
また、主階席側壁の下見壁(傾斜角ランダム構成)の有無の効果を幾何音響シミュレーションによって解析しました。その結果、十分な音量感と明瞭度が確保されるとともに、側方からの強い反射音が低減(散乱)されていることが分かります。

アートスペース

設計コンセプト:アートスペース
設計コンセプト

高天井のシューボックス型の室形状とすることで、音場の均一性・一体感、さらには適度な響きを確保しています。また舞台背後の内傾壁や天井・側壁のブリッジにより、明瞭度や拡がり感に寄与する初期反射音を確保。さらに直方体空間をベースに客席と舞台設備の設定を自由にすることで、演劇~音楽会~平土間イベントまで幅広い文化活動に対応できる残響可変幅を実現しています。

鉄道騒音対策

本施設はJR東海道本線と併設する豊橋鉄道の直近に位置することから、この敷地条件と施設用途を考慮して遮音仕様を検討し、NC-25以下の静けさを確保しました。

鉄道固体音対策の詳細はこちら

音響データ

主ホール
主な用途 劇場
室容積 4,623㎥
座席数 778席
残響時間* 1.2秒
平均吸音率* 24%
アートスペース
主な用途 演劇・音楽会・平土間イベント等
室容積 2,656㎥
座席数 266席
残響時間* 1.2秒(幕なし)
0.8秒(幕あり)
平均吸音率* 19%(幕なし)
28%(幕あり)

*:空席時、中音域

関連文献